個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2002年に新潮ミステリー俱楽部より刊行された伊坂幸太郎作「ラッシュライフ」をご紹介します。
今や人気作家となった伊坂幸太郎さん、初期の作品である本作。本格的なデビュー作で新潮ミステリー俱楽部賞を受賞した「オーデュボンの祈り」でもそうですが、伊坂幸太郎さんでしか書けない「これは小説なのか?」と思わせる世界観と魅力が感じられる作品です。
(参考)「オーデュボンの祈り/伊坂幸太郎」※新潮ミステリー俱楽部賞受賞作
ちなみに本作は2009年に映画化もされていますね。(すいません、いつもながら映画は観れておりません)
ズバリ、この作品は、
概要
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。(「BOOK」データベースより)
スポンサーリンク
RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: B(関係なさそうなアイテムが繋がる快感)
文章構成: S(ストーリーの配置が的確で素晴らしいです)
登場人物: A(伊坂作品のキャラクターは非常に「人間的」に感じます)
読みやすさ: A(いつもながら小ネタが細かい、でも嫌味がない)
再読したい度: S(何度も見返したい中毒性のある作品です)
おススメ指数 A
「巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話」。まさにその通りですね。
スポンサーリンク
感想
舞台は仙台。あらゆるものを金で買えるという男、不倫相手と共に相手の妻殺害を計画する心理カウンセラー、新興宗教にはまる青年、職を失い途方に暮れる男、様々な人々がそれぞれの人生を送る中で少しずつ彼らの物語が交錯していきます。一見繋がりのない彼らの物語が進行していきながらも、最後には一枚の絵が完成している、まさに「壮大な騙し絵」のような作品です。
本作では、普通の街(?)・仙台を舞台として起きる群像劇です。序盤では、つながりのなさそうな個性的なキャラクター達が様々な分岐点で交わりあっていくのをワクワクしながら読み進めることができる作品ですね。この作品を読むと、以前にセガサターン(PSP)から発売されたチュンソフトのゲーム「街~運命の交差点~」を思い浮かべてしまいます。プレーヤーが様々な行動を起こすことで周囲の人達の運命を変えていくゲームです。本作ラッシュライフでも、個性的で癖のある登場人物達が登場していきますが、それが最終的に一つの物語としてまとまっていく過程が素晴らしいと感じました。
また、タイトルのラッシュライフは、ジャズミュージシャンであるジョン・コルトレーンの楽曲・Lush Life(ぜいたくな人生?)に由来します。伊坂作品といつも共にある音楽。本作でも、ジャズの他にボブ・ディランやビートルズといった音楽がエッセンスとして効いていますね。
伊坂幸太郎ワールド全開の一癖も二癖も群像劇である本作。個性豊かな登場人物達それぞれのLush Lifeを堪能してください。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。