『そして誰も死ななかった/白井智之』:このクローズドサークルは癖になる

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2019年刊行、白井智之作「そして誰も死ななかった」をご紹介したいと思います。アガサクリスティの名作「そして誰もいなくなった」のタイトルに掛けた『新感覚クローズドサークル・ミステリー』です。

 

白井智之さんと言えば、『お前の彼女は二階で茹で死に』や『少女を殺す100の方法』といった、タイトルからわかるぐらいの「エログロ本格ミステリー」作家のイメージが強いです。そんな白井さん「誰も死なない」作品を出されるなんて。これは読まないわけにはいかない、というわけで手に取りました。

 

本当に誰も死なないのか?白井智之作品でしか味わえない、癖になる本格ミステリーを堪能できます。

(参考)白井智之さんの過去作品

 

 

ズバリ、この作品は、

『癖が強すぎる本格ミステリーを読みたい』人向けです。

 

概要

 

覆面作家・天城菖蒲から、絶海の孤島に建つ天城館に招待された五人の推理作家。しかし館に招待主の姿はなく、食堂には不気味な泥人形が並べられていた。それは十年前に大量死したミクロネシアの先住民族・奔拇族が儀式に用いた「ザビ人形」だった。不穏な空気が漂う中、五人全員がある女性と関わりを持っていたことが判明する。九年前に不可解な死を遂げた彼女に関わる人間が、なぜ今になってこの島に集められたのか。やがて作家たちは次々と奇怪を死を遂げ、そして誰もいなくなったとき、本当の「事件」の幕が開く。驚愕の本格推理。ミステリ界の鬼才が放つ、新世代の「そして誰もいなくなった」!(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: S(緻密に構築されたロジックには感動しました)

文章構成: B(島に行くまでのワクワク感が良かったです)

登場人物: B(登場人物達が作家だから皆推理を始めてしまいより難解に)

読みやすさ: A(かなり下品な割に序盤から惹きこまれます)

再読したい度: A(白井作品でしか味わえない異様な余韻を楽しめます)

おススメ指数 A

下品なクローズドサークル。でも癖になります。

 

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感想

 

覆面作家・天城菖蒲の招待を受け、絶海の孤島に集められた五人の推理作家たち。文化人類学者であった父の原稿を改稿し、ミクロネシアの先住民族が謎の大量死を遂げた事件に関する小説を発表した大亦牛汁(うじゅう)もその一人でした。館には先住民族が儀式の際に用いた「ザビ人形」が人数分用意されており・・・。果たして先住民族の事件と今回の招待は関係しているのか?果たして本当に誰も死ななかったのか?白井智之さんでしか表現できない「超特殊系本格ミステリー」作品です。

 

「そして誰も死ななかった」というタイトルと美しい表紙デザインから気軽に手に取ることができる本作。目次を見て唖然としました。(これは実際に手に取ってご覧ください)何が起きてもおかしくない展開に振り回される事は必至です。ただ、超特殊設定であるものの、あくまで中身は超本格ミステリーが展開されます。伏線も緻密に張り巡らされており、本格ミステリーファンの方は間違いなく楽しめるのではないでしょうか。

 

なお、白井智之作品の中ではマイルドですが、多少のグロさは感じられる作品ですので、苦手な方はご注意ください。また、主人公の大亦が非常に下品な男ですので(笑)、その辺りは人を選ぶかもしれませんね。推理小説に興味がないはずの主人公が終盤に人が変わったかのように推理を始める部分はご愛嬌ですが、推理作家達の慌てふためく姿も楽しめるポイントです。

 

何を書いてもネタバレになりそうなのでこの辺にしておきますが、癖になる本格ミステリーを堪能できる作品です。グロミスには入るかもしれませんが、白井智之作品初読の方でも楽しめる作品ではないでしょうか。もしご興味を持たれたら本作をチェックしてみてください。

 

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