『不条理な殺人/パット・マガー』:ドラマティックな展開の直球勝負作品♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は1967年発表のパット・マガー作、「不条理な殺人」です。普段から東京創元社さんのHPで新刊をチェックしているのですが2018年11月発売の作品の中で特にタイトルに惹かれて読むことにしました。

東京創元社さんの紹介も、

ミステリを知りつくした小説巧者が、あえて奇をてらわず書きあげた傑作

ということで期待せざるを得ません。

中身は、稽古から本番まで繰り広げられる登場人物達の駆け引きに手に汗握る演劇ミステリーでした。途中からは「この作品どうやって落とすの?」と気になって仕方がない展開へ進んでいきます。

ズバリ、この作品は、

『直球勝負の演劇ミステリーに興味がある』人向けです。

 

概要

人気俳優マークは義理の息子ケニーが書いた不条理劇の題名を知り動揺する。それは17年前、ケニーの実父が死んだ“事故”を暗示しているようだった。当時4歳だった息子が何かを知っている?マークはケニーの母で女優の妻サヴァンナの反対を押し切って劇への出演を決め、息子とともに舞台を作ることで真意を探ろうとする。過去の事件と舞台の上演が、彼らにもたらす結末とは?本邦初訳、円熟期の傑作。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(結末が全く読めない展開)

文章構成: A(結末が気になるようにうまく構成されています)

登場人物: S(登場人物の心理描写が本当にうまく描かれています)

読みやすさ: C(シェークスピア作品の引用が多いので好きな人は楽しめるかも)

再読したい度: B(他のパット・マガー作品も読みたくなります)

おススメ指数 B
全く古さを感じさせない読み応えのある作品でした。

 

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感想

本作品の秀逸な点は、登場人物達の心理描写が大変うまく描かれていることでしょうか。義理の息子ケニーが書いた不条理劇のタイトルが、過去の”ケニーの父の事故死”を暗示しているように感じたマークは、自分自身が芝居に参加することでケニーの真意を確かめようとします。マークの俳優として演じたいという想いと、ケニーの真意を探りたいという想いとの葛藤がケニーとの会話で丁寧に描かれています。

そして、ケニーの実母でありマークの妻であるサヴァンナの存在。サヴァンナもマークとは別の思惑があってストーリーに介入していきます。義理の親子関係であるマークとケニーの微妙な距離感も相まって、登場人物たちの感情のぶつかり合い自体が一つの演劇であるように感じます。

派手さはないものの、直球勝負の演劇ミステリーです。序盤はゆっくり進行していくものの、途中から終盤にかけてはどういう結末を迎えるのか予想のつかない展開になりますので、気になった方はご一読いただければ嬉しく思います。

 

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