個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2009年刊行、倉阪鬼一郎作「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人事件」をご紹介します。本作は「世界バカミス☆アワード」というイベントで2010年に見事バカミスアワードを受賞したキングオブバカミス作品でもあります。
「バカミス」とは、「そんなバカな!」という感嘆、賛嘆などの意味を込めたミステリーの総称です。通常のバカミスと呼ばれる作品は、読者が読んだ後で「そんなバカな!」と評価したものを呼ぶ事が多いかと思います。
しかしながら、本作は少し趣きが異なります。何故なら本作は作者が明らかに狙って書いているからです。予めお断りしておくと、本作は「楽しめた」という方と「本を投げた」という方に大きく二分されると思います。ご自身がどちらのタイプなのかは読んでいただかないとわかりませんが・・・。
ズバリ、この作品は、
概要
「4月9日(金)午前0:20にお越しください。お目にかかれるときを楽しみにしております。黒鳥館主人」招待状を手に東亜学芸大生・西大寺俊は黒鳥館と名づけられた壮麗な洋館に赴く。招待客は全員無作為に選ばれたという。ウェルカムドリンクを主人から受け取った西大寺は、館内の完全な密室で怪死。呪われた館を舞台とした凄惨な連続殺人の火蓋が切って落とされる―。復讐のため建てられた館で繰り広げられる大惨劇。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: A(倉阪作品でしか味わえない謎です)
文章構成: S(作者の苦労がうかがえます)
登場人物: B(果たして登場人物を議論する必要があるのか(笑))
読みやすさ: S(サクッと読むことができるでしょう)
再読したい度: S(作品全てが伏線なんです)
倉阪鬼一郎さんのミステリーへの挑戦作品ですね。
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感想
「黒鳥館」と「白鳥館」、色が違う二つの館がありました。黒鳥館と白鳥館の間には深い谷が存在し、容易にはもう一方へ辿り着くことができません。しかしながら、これらの建物の「奥の部屋」という密室で連続殺人が発生します。犯人はどうやって黒鳥館と白鳥館を行き来したのか?どうやって密室で殺人が行われたのか?一人の人間には犯行が不可能に見える連続殺人事件には驚きの真相が隠されていました。
バカミスの名作としても語られる本作。至るところに張り巡らされた伏線。少しずつ表層化してくる違和感を楽しみながら一気読みできる作品です。また、状況説明が驚くほどバカ丁寧なのも笑えます。例えば「奥の部屋」の説明。
最初の殺人が起きたのは、黒鳥館だった。
しかも、黒鳥館の「奥の部屋」と称されている場所だった。
名称だけが「奥の部屋」で、実は入口に最も近いところにあったというチープなトリックではない。「奥」という人物の部屋だったのでもない。黒鳥館の最も奥まったところに位置しているから、その空間は「奥の部屋」と呼び習わされていた。
ここまで過剰な状況説明が出てくると逆に疑ってしまいますね。(笑) 作者・倉阪さんのこういった状況描写の徹底ぶりにはただただ感心してしまいます。
バカミスの最高峰作品。本作は個人的にはお気に入りの作品ですが、正直「人を選ぶ作品」かと思います。この作品を楽しめるのか?或いは本を投げてしまうのか?ご自身が果たしてどちらのタイプなのかは是非とも本作を読んでお確かめください。