『カルカッタの殺人/アビール・ムカジー』:英国統治下のカルカッタを舞台とした歴史ミステリー

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2019年7月刊行、アビール・ムガジー作「カルカッタの殺人(原題:A Rising Man)」をご紹介します。本作はイギリス推理作家協会賞エンデバー・ヒストリカル・ダガー(歴史ミステリ)賞を受賞した作品です。

「カルカッタの殺人」というタイトルに惹かれて手に取った本作。第一次世界大戦後、イギリスが実効支配を行うインドを舞台とした歴史ミステリーでした。インド系移民2世のイギリス人である著者が時代背景を徹底的に調査して書き上げた作品で、当時の複雑な情勢を感じ取れる歴史小説としても非常に読み応えのある作品でした。

ズバリ、この作品は、

『海外の歴史ミステリーに興味がある』人向けです。

 

概要

1919年、英国統治下のカルカッタ。スコットランド・ヤードの敏腕警部ウィンダムは、第一次大戦従軍を経て妻を失い、倦み疲れてインド帝国警察に赴任した。右も左もわからぬ土地で頼みの網は、理想に燃える若く優秀なインド人の新米部長刑事バネルジー。二人は英国人政府高官が何者かに惨殺された事件を捜査する。背後には暴動寸前の現地の憤懣と暗躍する諜報機関の影が…東洋の星と謳われた交易都市を舞台に、複雑な政情を孕む奥深い謎と立場を超えた友情が展開する、英国推理作家協会賞受賞の傑作歴史ミステリ。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(登場人物達の駆け引きを楽しむ作品)

文章構成: B(オーソドックスな進行ながらも最後まで飽きさせない)

登場人物: A(イギリス人警部とインド人刑事のタッグが◎)

読みやすさ: A(翻訳も素晴らしくシンプルで読みやすいです)

再読したい度: A(次はどんな作品を出されるのか期待です)

おススメ指数 A
英国統治下の混沌としたカルカッタの状態が伝わってきました。歴史ミステリーとしても楽しめます。

 

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感想

第一次世界大戦が終了した翌年の1919年、悲惨な戦争を経験、妻を亡くして途方に暮れていたサム・ウィンダム警部は、当時イギリスが実効支配していたインド帝国に赴任する事になります。そこで出会ったのはインド人の若き刑事・バネルジーでした。二人はイギリス人政府高官が殺害された事件の調査に挑みます。ところが、二人の前には様々な障害が立ちはだかることに。果たして二人は殺人事件の裏に隠された真相に辿り着くことができるか・・・。

本作はミステリーとしても面白い作品なんですが、特に興味が惹かれたのは歴史小説としての側面です。作中では、当時のインド情勢がイギリス人の主人公を通じて非常に細やかに描かれており、人種差別や植民地支配という問題について非常に考えさせられました。例えば、イギリス人の有力者に聞き込みに行く際は、相手に配慮してインド人のバレスビーを同行させず一人で聞き込みに行く必要があるなど、当然捜査にも支障をきたすようになります。フィクションではありますが、それが当たり前の世の中が存在し、且つ100年しか経過していない事を考えると、何とも言えない恐ろしさを感じました。

また、上述した時代背景の中で、イギリス人警部のサムとインド人刑事のバレスビーという人種や境遇が異なる2人の刑事が協力しながら事件を追う姿は本作の見所です。初めはぎこちない関係だった二人が、捜査を行いながらお互いを知って信頼関係を構築していきます。この時代ならではの問題にぶつかりながらも立ち向かっていく姿は、新しいバディ物として新鮮に感じました。

第一次世界大戦後のカルカッタを舞台とした歴史ミステリー。当時の時代背景が把握できると共に、非常に考えさせられるミステリーでした。もしご興味を持たれましたら本作をチェックいただければと思います。

 

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