『安楽椅子探偵アーチー/松尾由美』:安楽椅子が探偵役のファンタジーミステリー

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2003年刊行、松尾由美作「安楽椅子探偵アーチー」をご紹介します。まさかの『安楽椅子が探偵役になってしまったミステリー』です。

安楽椅子探偵(アームチェア・ディテクティブ)とは、部屋から出ることなく、あるいは現場に赴くことなく事件を推理する探偵で、その語の通り、椅子に腰をおろしたままで事件の謎を解く者を指すことが多いですね。

本作は、椅子が喋って探偵になっちゃった、という作品です。このアーチーと名付けられた椅子は小学生・及川衛と共に「日常の謎」を解き明かしていく事になります。

ズバリ、この作品は、

『少し変わった仕掛けのミステリーを読みたい』人向けです。

 

概要

小学校5年生の及川衛は、自分の誕生祝いを買いに行く途中で、アンティークショップの店先にあった安楽椅子に心惹かれる。思い切って購入し、自宅へ運んでみると、なんとその椅子は口をきき、不思議な能力をもっていた。アーチーと名付けられた椅子は、シャーロック・ホームズばりの推理をする、正真正銘の安楽椅子探偵だったのだ。松尾由美が贈る、ファンタジー溢れる連作短編集。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(あくまで椅子が探偵の本格ミステリ)

文章構成: A(最後は壮大な展開に)

登場人物: A(アーチーと少年の強い信頼関係を感じました)

読みやすさ: B(アーチーの長い話以外はすんなり読めます)

再読したい度: A(続編も読もうと思います)

おススメ指数 A
こんなに椅子が賢いと少年が育たないのでは?(笑)

 

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感想

誕生日にゲーム機を買う予定だった小学校5年生の及川衛は、たまたま通りかかった骨董品店に置かれた一つの安楽椅子に心惹かれます。この安楽椅子、実は人間の言葉を話すことができ、自我が芽生えてからの60年間でシャーロック・ホームズばりの推理力を身につけていました。アーチーと名付けられた椅子は、衛と共に身の回りで起きた謎を解決していくことになります。

安楽椅子が探偵になるというありそうでなかった(?)設定のミステリー作品。椅子が主役だけに動かないから地味なんじゃない?と思うかもしれませんが、最終的にはあんな展開やこんな展開という誰もが想像していなかった展開に。連作短編集ですがストーリーとしてはつながっており、満足感を得られる作品かと思います。

松尾由美さんのミステリー作品は、SF的な要素が追加されているんですが、中身はしっかりとしたミステリーが多い印象を受けています。本作も、安楽椅子が探偵という設定以外は突飛な設定はなく、あくまで本格ミステリーを意識した作品でした。

少し変わった仕掛けのミステリーですが、根底にあるのは安楽椅子探偵が登場する本格ミステリーです。ミステリーを楽しみたいけど、普段とは違う作品も読みたいな、という皆様は是非とも本作をチェックしてみてください。

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