『ビリヤード・ハナブサへようこそ/内山純』:ビリヤードと組み合わせた上品なミステリー♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2014年刊行、内山純作「ビリヤード・ハナブサへようこそ」をご紹介します。本作は、第24回鮎川哲也賞を受賞した作品であり、内山純さんのデビュー作でもあります。

本作は、短編4編からなる連作短編集なんですが、各話のタイトルがビリヤード用語(「バンキング」「スクラッチ」「テケテケ」「マスワリ」)となっており、事件の謎を解く鍵がビリヤードにある、という少し趣向を凝らした作品です。

ズバリ、この作品は、

『レトロで上品なミステリーを楽しみたい』人向けです。

 

概要

僕―中央―は、大学院に通いながら、元世界チャンプ・英雄一郎先生が経営する、良く言えばレトロな「ビリヤードハナブサ」でアルバイトをしている。ビリヤードは奥が深く、理論的なゲームだ。そのせいか、常連客たちはいつも議論しながらプレーしている。いや、最近はプレーそっちのけで各人が巻き込まれた事件について議論していることもしばしばだ。今も、常連客の一人が会社で起きた不審死の話を始めてしまった。いいのかな、球を撞いてくれないと店の売り上げにならないのだが。気を揉みながらみんなの推理に耳を傾けていると、僕にある閃きが…。この店には今日もまた不思議な事件が持ち込まれ、推理談義に花が咲く―。事件解決の鍵はビリヤードにあり。安楽椅子探偵、中央のデビュー戦。第24回鮎川哲也賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(非常に素直でフェアなミステリーです)

文章構成: B(短編4話で各話それぞれ楽しめます)

登場人物: B(曲者揃いの常連客がみんなで事件解決を目指します)

読みやすさ: A(クセのない文章で非常に読みやすいです)

再読したい度: B(続編は出てないですが気になりますね。)

おススメ指数 B
ビリヤード×ミステリーの上品な作品でした。

 

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感想

世界チャンピオンである英(ハナブサ)先生が経営する「ビリヤードハナブサ」に集う登場人物達が、身の回りに起こった事件を安楽椅子スタイルで解いていきます。殺人事件が起こるものの、非常に上品なミステリーであり、独特のレトロで且つオシャレな雰囲気に魅了されます

本作の秀逸な点は、ビリヤードとミステリーをうまく組み合わせているところでしょう。ビリヤードを知らなくても用語などが丁寧に説明されており、それがあてつけがましくない為、サクッと気軽に読むことができます。

本作では、「ビリヤードハナブサ」に集う登場人物達のキャラクターも魅力の一つです。年齢不詳の「木戸の姉さん」、これまでいくつもの店舗経営を行ってきた「小西さん」、元商社マンの「佐藤の隠居」など曲者揃いの常連客達がみんなで議論しながら事件解決を目指します。そして、探偵役はお店のアルバイトである中央(あたりあきら)。一方、ビリヤード世界チャンピオンのハナブサ先生はビリヤードしか興味がないため、「事件の謎を解く気が全くない」ところも興味深いポイントです。(笑)

ビリヤード×ミステリーという上品でオシャレな雰囲気を醸す本作。ビリヤードを知らなくても気軽に楽しむことができますので、ご興味を持たれた方は是非ともチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

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