『ボッティチェッリの裏庭/梶村啓二』:一つの絵画を巡る歴史ミステリー

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2019年刊行、梶村啓二作、「ボッティチェッリの裏庭」をご紹介します。タイトルにもある通りイタリアを代表する画家・ボッティチェリの絵画を巡るミステリー小説です。

 

ボッティチェッリといえば、イタリアの都市・フィレンツェですね。フィレンツェはメディチ家による統治の下、かつてフィレンツェ共和国としてルネサンスの文化的な中心地となった場所でもあります。私もこれまで2度フィレンツェに滞在した事がありますが、フィレンツェの街どこを歩いても歴史的建造物や美術館が立ち並び、滞在するだけで幸せな気持ちになれる素敵な雰囲気の街でした。

 

フィレンツェ(出展:Wikipedia)

 

ボッティチェッリは、メディチ家から寵愛を受けた画家で、彼の代表作である「ヴィーナス誕生」と「春(プリマヴェーラ)」はフィレンツェのウフィツィ美術館に今も展示されています。

 

ヴィーナス誕生
ヴィーナス誕生(出展:Wikipedia)
プリマヴェーラ
プリマヴェーラ(出展:Wikipedia)

 

ズバリ、この作品は、

『絵画×フィレンツェ×ミステリーに興味がある』人向けです。

 

概要

 

「折り入って相談したいことがある。できるだけ早く会いたい」親友フランツがスイスで謎の死を遂げて三カ月、未亡人となったカオルからのメールには言いよどむ気配があった。駆けつけるとそこには幼い娘が一人きり。いぶかるタカオの携帯に見知らぬ男から電話が入る。「奥さんの身柄は、フランツさんが所有していた絵と交換としましょう」その絵とは、ルネサンスの巨匠が遺した未発見の真筆。やむなくタカオは少女を連れて、まだ見ぬ名画の捜索に乗り出した―罪なき一枚の絵画が、時を超え、土地を変え、罪なき人々の運命を狂わせる。翻弄されているのは、人なのか美術品なのか。現代における「本物」の意味を問うスリリングなアートミステリー。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: B(3つの場面がどう絡んでいくのか)

文章構成: A(最後はそういう展開か!)

登場人物: B(案外淡々と進行していきます)

読みやすさ: B(絵画や歴史に興味がないと厳しいかも)

再読したい度: B(フィレンツェの歴史も勉強できるミステリー)

おススメ指数 B

フィレンツェとナチスドイツの歴史も勉強になるミステリーでした。

 

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感想

 

日本で会社員をするタカオの元に、3ヶ月前に不慮の事故で謎の死を遂げた親友・フランツの妻・カオルから連絡があります。その直後、謎の男から「カオルの身柄とフランツが所有している(はず)のある絵画と交換したい」と電話が・・・。その絵画とは、フィレンツェを代表する有名画家・ボッティチェッリの幻の絵画でした。カオルを救うため、タカオは残されたフランツとカオルの一人娘・カサネと共に、この幻の絵画を探すことに。果たして本当にボッティチェッリが残した幻の絵画は存在するのか。そして二人は無事にカオルを救い出すことができるのか。この一つの幻の絵画の裏には様々な人達の物語が隠されていました。

 

本作品では、1500年代のフィレンツェ、1940年代のドイツ、2010年代の現代と3つの時間軸でストーリーが進行します。これらの時代に起きたストーリーがどう絡んでいくのか、非常にワクワクしながら楽しむ事ができるようになっております。1500年代ではメディチ家の隆盛が、1945年代のドイツでは、ナチスドイツによる美術品の略奪が事細かに描かれており、絵画を中心とした歴史小説としても読み応えのある作品でした。一方で、絵画や世界史に関してそこまで興味が無いと読み進めるのに苦労するかもしれませんのでご注意ください。

 

また、絵画を巡る歴史だけでなく、現在の美術品に対する考え方についても書かれており、大変勉強になりました。本作では、電子決済の増加に伴って、よりマネーロンダリングを行いやすい資産として絵画が注目されていると述べられており(真偽は私にはわかりませんが・・・)、資産価値としての絵画という側面についても書かれています。現代美術の取引額も高騰しているというニュースを耳にすることもありますが、純粋に美術品として評価するだけでない、こういった側面についても考えさせられました。

 

ボッティチェッリの幻の絵画を巡るミステリーである本作。絵画や歴史に関して興味がある方には是非ともおススメしたい作品です。ご興味を持たれた方は本作をチェックしていただければと思います。

 

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