『教会堂の殺人/周木律』:「堂」シリーズ第5弾はこれまでとは違う異質作品♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は周木律作「堂」シリーズ第5作、「教会堂の殺人」をご紹介します。超特殊建築物で発生する殺人事件を描いた「堂」シリーズも佳境に。全7作中5作目というだけあって終結に向けて起承転結の”転”を担う作品ですね。

本シリーズは何回もお伝えしておりますが、第1作から順番通りに読まなければ楽しめなくなっております。特殊系館モノ好きな方は是非とも以下の過去記事をご参照いただき、第1作のメフィスト賞受賞作、「眼球堂の殺人」から順にチェックしていただければと思います。

 

 

これまでの過去4作は、特殊建築物を舞台にしたクローズドサークル(密閉された空間)での殺人事件を推理する王道ミステリーでした。一方、本作は「教会堂」という建築物を舞台にしたデスゲームの要素が強く、これまでの雰囲気とは異なり終始不穏な空気感が演出された異色作であるように感じました。

ズバリ、この作品は、

『ミステリーに限らず特殊系館モノが好きな』人向けです。

 

概要

訪れた者を次々と死に誘う狂気の館、教会堂。失踪した部下を追い、警察庁キャリアの司は館に足を踏み入れる。そこで待ち受けていたのは、水死・焼死・窒息死などを引き起こす数多の死の罠!司の足跡をたどり、妹の百合子もまた館に向かう。死のゲームと、天才数学者が求める極限の問いに、唯一解はあるのか!?(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: A(今回も「堂」が猛威を振るいます)

文章構成: A(これまでの登場人物達の様々な視点で進みます)

登場人物: B(各キャラの性格・思考が安定してきましたね)

読みやすさ: B(数学談義は本作も変わらず)

再読したい度: A(あと2作で終結ですね)

おススメ指数 A
これまでとは趣向の異なる作品でしたが、私は気に入りました。

 

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感想

本作は、教会堂の殺人という異質な建築物を舞台にして、「真理」を得るために「ゲーム」に挑む姿が描かれています。過去作のようなクローズドサークルを舞台とした殺人事件を解明する王道ミステリーとは様相が異なり、どちらかというとデスゲームのような作品です。

「君もまた、真理の前に、皆と同じくゲームに挑まなければならない。今こそ君に問おう。君にその覚悟はあるのかね?ゲームに挑む覚悟は」

第5作で急にスタイルが変わったことから賛否両論あったという本作ですが、個人的には「真理を得るために自分自身を賭けてゲームに挑む」というテーマが気に入ったのですんなり入り込むことができました。また、教会堂の内部構造経済学(ナッシュ均衡とパレート効率)のお話がリンクしており、しっかり世界観を構築した上でのデスゲームが展開されていることも好印象でした。教会堂の仕組みに関しては深く考えれば色々気になるポイントは出てくるのですが、それを補える程の魅力的な建築物・教会堂。怪しい建物には決して近づいてはいけませんね。(笑)

本シリーズが秀逸な点は、いずれの作品も続きが気になるように書かれている事ですね。毎回衝撃のラストが続いておりますので、続きが気になるという期待感と共に、「あと2作で終了するのか」という喪失感も同時に感じられる作品ですね。

シリーズ完結編へ「転」の役割を担う本作。第1作から順番に読まなければ楽しめないようになっておりますので、もし興味を持たれた方でシリーズ未読の方は、まず第1作の「眼球堂の殺人」からチェックされてはいかがでしょうか。

 

 

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