『本と鍵の季節/米澤穂信』:青春ミステリーと侮るなかれ、良質の謎が続く連作短編ミステリー♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2018年12月刊行、米澤穂信作「本と鍵の季節」をご紹介します。アニメ化もされた古典部シリーズの作者でもある人気作家・米澤穂信さんの最新作ですね。

氷菓(古典部シリーズ第1作)

本作は古典部シリーズとは関係ありませんが、図書委員である堀川と松倉を主人公とした青春ミステリーです。6編から成る連作短編集ですが、ただの青春・友情ミステリーではなく、図書委員仲間である二人の微妙な距離感、青春のほろ苦さを見事に表現した作品でした。しかも6作全てが高クオリティのミステリーです。

ズバリ、この作品は、

『ライトな語り口の良質青春ミステリーが読みたい』人向けです。

 

概要

堀川次郎は高校二年の図書委員。利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。背が高く顔もいい松倉は目立つ存在で、快活でよく笑う一方、ほどよく皮肉屋ないいやつだ。そんなある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。亡くなった祖父が遺した開かずの金庫、その鍵の番号を探り当ててほしいというのだが…。図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生ふたりが挑む全六編。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: S(1話目で全部持ってかれました)

文章構成: S(冒頭からは想像できないラスト)

登場人物: B(高校2年生にしては頭が切れすぎる二人(笑))

読みやすさ: S(ライトな語り口でのめり込みやすい)

再読したい度: A(続編も期待したいですが)

おススメ指数 S
図書委員という設定を非常にうまく生かしたミステリーでした。

 

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感想

本作が秀逸な点は、図書委員という立場から偶然知り合った二人が、本や日常に関係する謎解きを通じてお互いを感じ取っていく過程を非常にうまく表現している点かと思います。主人公二人がそれぞれ謎を解くアプローチも違っていて、真相の解明を通じてお互いを知る中で二人の距離感も微妙に変化していきます。

学生ならではのライトな語り口青春のほろ苦さというものが本作では感じることができます。一方で、青春ミステリーといっても、男女の美しい恋愛模様や男同士の熱い友情などを期待すると、がっかりするかもしれません。

また、本作で描かれる「謎」部分も、図書委員という設定をうまく生かしていて大変興味深く読むことができました。正直、「この二人頭良すぎでしょ」と思うこともありましたが、ミステリー好きの視点から読んでも大変満足できる作品でした。

本作は、青春ミステリーにありがちな男女の恋愛要素などは(あえて?)盛り込まず、知的な男子高校生二人が謎の解明を通じて成長していくストーリーを楽しむ作品です。全ての話や伏線がつながっていきますので、1つの物語として楽しめます。司書さんなど本の知識を持った方はさらに楽しめそうです。興味を持たれた方は是非ともチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

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