個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2003年刊行、鳥飼否宇作「本格的」をご紹介します。本作は、奇想の炸裂したバカミスを展開する『綾鹿市(あやかし)シリーズ』の記念すべき第1作ですね。
ちなみに、“バカミス”とは、小説作品を侮辱するような意味合いの「馬鹿な」ではなく、「そんなバカな!!」のような感嘆、賛嘆などの意味を込めたミステリーの総称です。(Wikipediaより)
「変態」・「擬態」・「形態」という3つの中編をまとめた連作短編集である本作。3作とも一癖も二癖もあるお話であり、脱力感があって笑えるミステリーを堪能することができます。
ズバリ、この作品は、
概要
数学科助教授は、異常な興奮状態に陥ると天才科学者に変態し、これまで数々の論文をものしてきたという。その彼がフィールドワークと称する「覗き」、その最中に殺人事件が発生し、あろうことか自分が容疑者にされてしまう。疑惑を払拭するために興奮状態になった彼が指摘した「真相」とは。研究しているのかされているのか、微妙な線上に繰り広げられるへそまがり理系ミステリー。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: B(人は死ぬけどなぜか笑えるミステリー)
文章構成: A(最後の最後まで謎を楽しめます)
登場人物: S(増田先生の変態フィールドワークにハマってしまった)
読みやすさ: B(途中から擬態の授業が始まっちゃったよ・・・)
再読したい度: B(たまにはゆる~いミステリーもいかがでしょうか)
笑えて楽しめるミステリー。面白い試みでした。
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感想
本作は綾鹿市(あやかし)という舞台で起きる不思議な事件を扱った脱力系ミステリーです。本格「的」というだけあって、本格ミステリーからあえて脱線することでオリジナリティのある作品に仕上がっております。
1本目の「変態」では、変態的フィールドワークを趣味とする増田助教授が、女性の〇〇を覗き見中に事件に遭遇するというお話。この増田助教授、興奮状態になることで脳が活性化するという特殊能力の持ち主です。この変態主人公は事件を解決できるのかが注目ポイントです。
2本目の「擬態」では、ひたすら生物の「擬態」の講義を受けるというお話。途中から「これミステリーなの?でも勉強になるな~」と思ってしまうほど生物の擬態って興味深いですね。生物が自然界の中で生き延びるために行っている工夫をこの本は教えてくれます。これは果たしてミステリーなのか?是非とも本作を読んでお確かめください。
3本目の「形態」では、1本目、2本目とは趣きが異なり、人間のクローンに関するお話。幼児誘拐事件を題材にしており、シリアスな展開のミステリーとなっております。
本作は本格「的」である事を謳いながらも、ミステリーとしてしっかりと練られており、笑いながら楽しめる脱力系ミステリーとなっております。「的」とつけるだけでここまで自由度が高くなるのかと驚きました。特に、1本目の主人公である変態増田助教授のキャラが濃すぎて笑えます。
表紙がやたらと可愛い本作。ちなみに、表紙は本編とはほぼ関係ありません。バカミスを読みたいという方には是非ともおススメしたい作品です。興味を持たれましたら是非とも本作をチェックしてみてはいかがでしょうか。