『異邦の騎士/島田荘司』:若き日の著者の情熱が詰まった力作

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は1988年発表の島田荘司作、「異邦の騎士」をご紹介します。この作品は私が読んできたミステリー小説の中でも特に好きな作品の一つです。本当は事前情報を何も仕入れずにとりあえず読んでいただきたいのです。でもそういうわけにはいかないので(笑)、少しだけご紹介させてください。

 

なお、本作は御手洗潔が登場するシリーズの中の1冊です。このシリーズはそこまで読む順番が重要でないかもしれませんが、1作目にこれを読まない方がいいです。もし良ければ発表順(?)の占星術殺人事件→斜め屋敷の犯罪→異邦の騎士と読んでいただいた方がいいかもしれません。島田先生の若かりし頃の思いが詰まった大変熱い作品です。

 

 

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ズバリ、この作品は、

『島田先生の情熱を受けとめたい』人向けです。

 

概要

失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。名探偵御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリ『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆修整した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: S(個人的に思い入れのある作品)

文章構成: A(中盤から終盤にかけての盛り上がりがスゴイ)

登場人物: S(御手洗潔を一層好きになりました)

読みやすさ: A(加筆修正されているだけに大変読みやすいです)

再読したい度: S(島田先生の情熱が文章から伝わってきます)

おススメ指数 S
ミステリー好きでなくても、是非一度は読んでほしい作品です。

 

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感想

記憶喪失に陥った男が、頭が真っ白な状態から記憶を取り戻していく過程を読まされていく内に、島田先生の人間描写によって自分自身がまるで”その男”であるかのような錯覚に陥っていきます。自然に感情移入するように構成されているように感じました。それだけに中盤から終盤にかけては自分自身の感情も高ぶり、クライマックスでは他のミステリー作品では味わえないような読了感を得ることができました。

 

作中で用いられている音楽の話によって、ノスタルジック、且つ独特の雰囲気を形成しています。Wes MontgomeryのThe Incredible Jazz Guitarや、Return To ForeverのRomantic warrior(浪漫の騎士)など、ジャズやフュージョンの曲が良い味を出しております。事件と音楽のエッセンスが微妙な塩梅で調整されていることで不思議な世界観を構築しています。

 

 

 

この作品は、多くの方にとって心に残っている作品であるかと思います。ミステリーが好きな方でなくても、まだ未読の方は是非とも読んでいただきたい作品です。

 

 

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