『人格転移の殺人/西澤保彦』:「誰の人格が犯人?」超特殊フーダニット♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は、西澤保彦作「人格転移の殺人」をご紹介します。本作は、1997年版「本格ミステリベスト10」で8位、「このミステリーがすごい!」で10位にランクインした作品です。

西澤保彦作品の特徴は、SF的要素とミステリーを見事に融合させた作品である事かと思います。以前ご紹介した「7回死んだ男」は、タイムループを利用した誰もが楽しめる作品でした。

 

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本作は、スイッチサークルという、「人格が入れ替わる装置(空間)」が登場します。例えば、AさんとBさんがその空間に入ってしまうと、AさんとBさんの人格が入れ替わるのです。一度その二人で人格が交換されると、不定期に人格が繰り返し入れ替わったりします。

人格転移が終了する条件は、どちらかが死ぬ時。死んだ場合は身体と”その時宿っている人格”が消滅することになります。例えば、仮にBさんの人格が宿ったAさんの身体が死亡した場合、Aさんの人格が宿ったBさんの身体が生き残ることになります。

本作では、この現象が多人数で起こってしまうため一層複雑な展開に。殺人事件が起こる中で、登場人物達は自分の人格と身体の双方を殺人者から守らなければなりません。果たして誰の人格が犯人なのか?超特殊フーダニット(誰がやったのか?)ミステリーです。

ズバリ、この作品は、

『良質のスリリングなSFミステリー』人向けです。

 

概要

突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: S(「人格」を推理するという設定が斬新)

文章構成: A(事件が起こった後に「人格」を推理します)

登場人物: B(人種のステレオタイプ的表現が多かったかな)

読みやすさ: A(序盤にある設定説明の後はどんどん読み進められます)

再読したい度: A(ラストの森博嗣解説まで面白い)

おススメ指数 A
SF要素を利用した流石の本格ミステリーでした。

 

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感想

ある事がきっかけでスイッチサークルという人格が入れ替わる装置(空間)に入ってしまった主人公達。人格が突然入れ替わってしまうばかりに、CIAによって一時幽閉されてしまいます。このクローズドサークルで殺人事件が発生。殺人によって誰かの身体と誰かの人格が死んでいくのです。

例えば、自分の人格が他人の身体に入っている時に、他の人(人格)が自分の身体で人を殺している可能性もあるという事ですね。また、自分の身体が死んでしまうと、もうその身体に戻ることはできません。最高の終わり方としては、自分の人格が自分自身の身体に入っているときに他の全員が死ぬことですが・・・。

流石の西澤保彦作品。このトンデモ展開・トンデモルールにも関わらず、しっかりとミステリーが展開されていきます。普通のミステリーだと「犯人は誰?」なんですが、本作だと「誰の人格が犯人?」になるため、普段とは違う頭の使い方をしないと犯人が全く読めません。それだけワクワクできる小説です。

本作は、しっかり考えながら読み進めないと混乱してしまうので、じっくり時間のある時に読んでいただきたい作品です。終盤はまさかの展開がひたすら続きます。果たしてこの作品はどういった結末を迎えるのか。超特殊フーダニットミステリーの本作、結末は是非ともご自身でお確かめください。

 

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