『神様の暇つぶし/千早茜』:あのひとを知らなかった日々にはもう戻れない

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2019年刊行、千早茜作「神様の暇つぶし」をご紹介します。

 

手に取ったきっかけは、「神様の暇つぶし」という不思議なタイトルに興味を惹かれた事。普段ミステリーを中心に読んでおりますので、千早茜さんの作品は、直木賞候補となった「男ともだち」と、クリープハイプ・尾崎世界観さんとの共作「犬も食わない」しか知りませんでした。

 

本作は、恋を知らない一人の女性が、「全さん」という亡き父の友人である写真家に次第に惹かれていく素敵な恋愛小説で、読後に何とも言えない余韻を感じさせる作品でした。

 

ズバリ、この作品は、

『濃密で力強い恋愛小説を読みたい』人向けです。

 

概要

 

夏の夜に出会った父より年上の男は私を見て「でかくなったなあ」と笑った。女に刺された腕から血を流しながら。―あのひとを知らなかった日々にはもう戻れない。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: 

文章構成: A(読後の余韻が強く感じられる作品)

登場人物: A(藤子の率直さと全さんの不思議な雰囲気が対称的でした)

読みやすさ: A(序盤から自然と物語の世界観に入る事ができました)

再読したい度: S(他作品も是非ともチェックしたいですね)

おススメ指数 A

世界観の構築が素晴らしく、読後の余韻も強く感じられる作品でした。

 

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感想

 

交通事故で父を突然亡くし、失意に暮れる女子大生・藤子のもとに、亡き父の友人だった写真家・全さんがあらわれます。背が高い事がコンプレックスで恋愛にも奥手だった藤子は、全さんに自分の感情をさらけ出す内に、次第にこの”父よりも年の離れた男”に惹かれていきます。気だるい夏の暑さの中で二人で過ごした短い時間。「神様の暇つぶし」というタイトルの意味に、読後改めて考えさせる素敵な恋愛小説です。

 

本作は、藤子という純粋で素直な女性が、全さんという父よりも年の離れた男性と出会う事で、恋という感情に初めて動かされていく様子を描いた作品です。設定としてはそこまで奇抜ではないものの、非常にリアルで生々しい描写によって、この二人が惹かれていく様子に熱量を感じるようになっています。全さんは「ゴツイ腕」で「煙草の匂いが染みついた」ような、特に魅力を感じるような男性のイメージはできないんですが、彼女にとっては初めて愛する男性として見方が変わっていく、それを藤子の視点を通して表現されていく様は見事でした。

 

また、藤子と全さん以外の登場人物も、効果的な場面で登場するように設定されており、決して出過ぎない程度でこの作品になくてはならない要素として演出されています。藤子の気を許せる友人として登場する里見・菜月。全さんを愛する女性。彼らや彼女らにとっても、自分の追求する愛があり、それは他人に干渉されず実直であるべき、という事を知らせてくれます。

 

不思議な読後感と強い余韻が感じられる濃厚な作品でした。ミステリーではありませんが、おススメしたい物語です。もしご興味を持たれた方は、本作をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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