個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2013年刊行、法月綸太郎作「ノックス・マシン」をご紹介します。本作は、『このミステリーがすごい!2014年版』国内篇で第1位を獲得した作品です。
このミス第1位を獲得した作品ですが、本作はミステリーではなく、古典・本格ミステリーを題材としたSF作品であると個人的には感じております。
後述しますが、本作は古典ミステリーの設定や登場人物を元に、「壮大に風呂敷を広げた作品」です。作中で、「ノックスの十戒」や、ワトソン博士やヘイスティングス大尉といった「探偵の助手」をネタにしたりと、ミステリーマニアが存分に楽しめる作品となっております。
一方で、普段ミステリーを読まない方は「このミス1位」だからといって読むと、期待を裏切られる可能性がありますのでご注意ください。
ズバリ、この作品は、
概要
上海大学のユアンは国家科学技術局からの呼び出しを受ける。彼の論文の内容について確認したいというのだ。その論文のテーマとは、イギリスの作家ロナルド・ノックスが発表した探偵小説のルール、「ノックスの十戒」だった。科学技術局に出頭したユアンは、想像を絶する任務を投げかけられる…。発表直後からSF&ミステリ界で絶賛された表題作「ノックス・マシン」、空前絶後の脱獄小説「バベルの牢獄」を含む、珠玉の中篇集。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: ー
文章構成: A(最終的にそこに行き着くのか)
登場人物: S(ヘイスティングスが出てくるのが嬉しい)
読みやすさ: B(専門的な描写が多いので人を選ぶかも)
再読したい度: S(何故か再読してしまう作品)
古典ミステリー好きは間違いなく楽しめるかと思います。
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感想
本作は「ノックス・マシン」「引き立て役倶楽部の陰謀」「バベルの牢獄」「論理蒸発-ノックス・マシン2」という4編が収録された短編集です。
※電子版(3/4)では、「バベルの牢獄」は収録されておりません
「ノックスマシン」は、『ノックスの十戒』をテーマとした壮大なSF作品です。『ノックスの十戒』とはロナルド・ノックスが発表した探偵小説を書く際のルールですね。
1.犯人は物語の当初に登場していなければならない
2.探偵方法に超自然能力を用いてはならない
3.犯行現場に秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない
4.未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない
5.中国人を登場させてはならない
6.探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
7.変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない
8.探偵は読者に提示していない手がかりによって解決してはならない
9.サイドキック[3]は自分の判断を全て読者に知らせねばならない
10.双子・一人二役は予め読者に知らされなければならない
中でも、第5項の「中国人を登場させてはならない」という項目が本作のメインテーマとなっています。上海大学のユアン・チンルウは、自身の博士論文の研究が双方向タイムトラベル成功の鍵を握ると伝えられ、ノックスに第5項の真意を確かめるため、自身がタイムトラベラーとなり過去を目指します。
また、「引き立て役倶楽部の陰謀」では、いつも探偵の引き立て役をしている語り手側が、実は裏で暗躍していたというお話です。シャーロック・ホームズの相棒・ワトソン博士、名探偵ポワロの相棒・ヘイスティングス大尉、ジョン・イヴリン・ソーンダイクの相棒・ジャーヴィス博士といった超豪華引き立て役達が登場します。狙う敵はなんと「アガサ・クリスティ」。果たしてクリスティは彼らから逃れることができるのか。是非とも結末はご自身でお確かめください。
本作は、突飛な発想を見事に形にしたというSF作品。ノックスの十戒や、その他古典ミステリーシリーズの元ネタが知っていれば知っている程楽しめる作品かと思います。かなりコアな作品ですが、古典ミステリーが好きな方は間違いなく楽しめる作品ですので、是非ともチェックされてはいかがでしょうか。