rko-book.com ~おススメのミステリー小説を紹介するブログ~

2018年11月よりスタートした、これまで読んだおススメ小説を紹介するブログ。ほぼネタバレなしで紹介します。

『幸福の劇薬/仙川環』:ある治療薬を巡る本格医療ミステリー


f:id:rko-3rdgeneration:20190408165623j:plain

個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2019年3月刊行、仙川環作「幸福の劇薬」をご紹介します。医療問題を中心に作品を発表している仙川環さんの社会派医療ミステリーです。

 

この本を手に取ったきっかけは、概要にある「医者探偵」というフレーズです。何か新しい響きだなと思い、読んでみることにしました。実際は、主人公の宇賀神晃は「医者探偵」と呼べるほどの華麗な推理を展開するわけではなく、記者である新郷美雪、病院給食サービス業者の瓦田春奈と共に地道に担当者に聞き込みをしながら事件の真相に迫る、といった内容でした。だからこそ、医療現場をリアルに描くことが可能となり、認知症治療薬という現代社会が抱える問題に関する設定が相まって、社会的要素の濃い考えさせられる作品に仕上がっておりました。

 

ズバリ、この作品は、

『リアルな設定の医療ミステリーが好きな』人向けです。

概要

夢の特効薬は、幻なのか? それとも禁断の薬か? 曙医科大学が開発した認知症治療薬「DB-1」は、臨床研究で画期的な成果を上げた。重症患者たちが、ほぼ完全に脳の機能を取り戻したのだ。国際的製薬企業のサニーがいち早く権利獲得に乗り出すが、一人の医師の自殺から浮かび上がったのは、恐るべき計画だった。曙医科大を放逐され、貧乏病院で老医師の代替医として勤める医者探偵・宇賀神晃がその謎に挑む!

RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(認知症治療薬は果たして本物なのか)

文章構成: C(唐突な展開が続くので、もう少しじっくり書いても良かったかな?)

登場人物: C(うどんが好きすぎる主人公(笑))

読みやすさ: B(ページ数は短く、展開は早いです)

再読したい度: C(個人的にキャラにハマらなかったので、別作品で本格医療ミステリーを期待してます)

おススメ指数 C
設定が非常にリアルで現代社会が抱える問題に沿った内容でした。

感想

内部告発がきっかけで大学病院を辞めた医者・宇賀神晃が、大学病院時代の同志・明石幹彦が自殺した事を伝えられます。明石は、画期的な認知症治療薬を開発した教授・脇本新一の研究室に所属しており、多忙を極める毎日の中で「うつ状態」となって自ら命を絶ったとの事。不審に思った宇賀神らは様々な担当者から聞き込みを行う中で、認知症治療薬の臨床研究に不審な点が見受けられることを突き止め・・・。

 

本作の主人公である宇賀神晃は、自身が大学病院を辞めるきっかけをつくった記者・新郷美雪と、再就職先で知り合った病院給食サービス業者・瓦田春奈と共に、事件の真相に迫っていくのですが、この捜査方法がほぼ関係者への聞き込みのみかなり地味です。(笑) 探偵小説のように気の利いた質問をするわけでもなく、現場で証拠品を発見するわけでもないのです。この設定がかえって医療問題というリアルな設定を活かしているように感じました。一方で、探偵役が華麗に推理するミステリーを期待するとがっかりするかもしれません。

 

また、本筋と関係があるかどうかは述べませんが、とにかく主人公が"うどん"を食べます。(笑) "味噌煮込みうどん"や"きつねうどん"などあらゆる"うどん"が登場しますので、うどんが好きな方はチェックすべきかもしれません。

 

医者探偵」と言っても華麗に活躍する"探偵もの"ではなく、現代の超高齢社会が抱える認知症という問題をテーマとした「社会派医療ミステリー」ですので、現実味のある設定のミステリー、特に医療ミステリーが好きな方はチェックされてはいかがでしょうか。