個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は、2019年1月刊行、高井忍作、「京都東山美術館と夜のアート」をご紹介します。
ミステリー小説といえばでお馴染みの創元推理文庫から出た作品。しかも主人公は学芸員志望の女性警備員という特殊設定。さらに可愛いイラスト(笑)、という3点セットに惹かれて読むことにしました。
当初描いていたイメージとは違い、中身はかなりの美術ミステリー。特に刀剣や版画の部分は私が無知なだけかもしれませんが、しっかり読み込まないとついていけない可能性があります。私の場合、「気軽にサクッとミステリーを楽しめるのかな」というスタンスで臨んだため少し戸惑いました。(笑)
ただ、それだけ美術関連のお話は丁寧に書かれているので、元々アートに興味がある方はドストライクな作品でしょう。特に短編4編のうち1話は刀剣についてのお話ですので、刀剣好きな方にはおススメしたい作品です。
ズバリ、この作品は、
概要
学芸員志望の神戸静河が、ようやく就職できたのは地元の市立美術館の警備員。巡回などの通常業務をこなしつつ、何かあるたびに駆り出されては対処に当たるのがオシゴトだ。深夜の庭園で不審な男に遭遇したり、写楽の作だという可能性の浮世絵が出てきたり、失われた御神刀が展示が縁で発見されたり…。京都を舞台に、美術にまつわる謎と女子警備員の活躍を描く連作ミステリ。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: A(まさに美術ミステリー)
文章構成: B(連作短編集です)
登場人物: C(警備員設定がもう少し生かせれば)
読みやすさ: C(美術説明パートが長いので読み手を選ぶ?)
再読したい度: B(サラッと読んだだけでは理解できないかも)
美術館の”内側”がのぞけて楽しかったです。
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感想
学芸員志望だった主人公・神戸静河が就職したのは美術館の警備員。美術館スタッフと協力しながら美術館にまつわる謎を推理する連作短編集です。
前述した通り、本作品は「読み手を選ぶ作品」かなと感じました。読み始める前は、「警備員の女性達が美術館で起きた謎を華麗に推理する」というイメージでしたが、どちらかというと、「警備員さんや学芸員さんといった美術館スタッフが美術品に関する知識を語り合いながら謎の真相に迫っていく」というイメージです。特に「美術品に関する知識を語り合いながら」がかなり長いので、この部分に興味があるのであれば本作品を楽しめるかと思います。
なお、4話の短編の内、1作目の「美術館と夜のアート」のみ、ミステリーズVol.83に掲載された作品で、他の3作(「宝船のイースト・ミーツ・ウエスト」、「御神刀リターンズ」、「スウィフティー画談」)は書き下ろし作品になります。
1作目の「美術館と夜のアート」は、深夜に美術館の庭園にいる不審な男の正体を推理するというお話で、女性警備員の設定が生かされていることと、美術紹介パートが短かったため”美術知識の無い私”にも充分楽しめました。その後の3作は別の作品になったかのように、「正直そこまで美術パート必要かな」と思うぐらい美術要素が非常に濃い作品でした。
美術要素にかなり力の入った作品、日頃からアート関連に興味があってミステリーも好きな方にはおススメできる作品ですので、アートミステリーに興味がある方は是非とも手にとってみてはいかがでしょうか。