『死者の国/ジャン=クリストフ グランジェ』:クリムゾン・リバー著者 待望の新作♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日はハヤカワ・ポケットミステリより刊行されました、ジャン=クリストフ グランジェ作「死者の国」をご紹介します。

ジャン=クリストフ グランジェはフランスの推理作家です。日本でも『クリムゾン・リバー』が有名かと思います。2つの事件を2人の刑事がそれぞれ追う中で、次第に2つの事件の関係性が明らかになっていくサスペンス。映画では、ジャン・レノとヴァンサン・カッセルというフランスを代表する2大スターが競演した事でも注目を集めました。小説だけでなく、映画としても完成度の高い作品でした。

クリムゾン・リバー(小説)

クリムゾン・リバー(映画)

本作は待望の新作サスペンスです。フランスでは2018年に刊行、翻訳版がハヤカワ・ポケットミステリより2019年に発売されました。なんと、ポケットミステリ史上最も厚い作品だそうです。三部構成から成る本作は、二段組で760ページを超えるボリューム。一人の刑事が猟奇的連続殺人事件の犯人を追う戦慄のサスペンス作品でした。長いので読むのに覚悟が必要ですが、決して期待を裏切らない完成度の高い作品に仕上がっております。

ズバリ、この作品は、

『重厚感のある戦慄サスペンスを読みたい』人向けです。

 

概要

パリの路地裏で、両頬を耳まで切り裂かれ、喉には石を詰められたストリッパーの死体が発見される。パリ警視庁警視のコルソはこの猟奇殺人の捜査を進めるが、ほどなく第二の犠牲者が出てしまう。被害者二人の共通点は、残忍な殺され方、同じ劇場で働いていたこと、そして元服役囚の画家ソビエスキと交際していたこと。この画家を容疑者と考え、追い詰めるコルソを待ち受けるのは、名画をめぐる血塗られた世界と想像を絶する真相だった…!『クリムゾン・リバー』の巨匠が放つ戦慄のサスペンス!(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: S(見事に張り巡らされた伏線はお見事)

文章構成: S(まあそんな事だと思ったよ・・・(笑))

登場人物: A(主人公コルソの闇や心境の変化がうまく表現されています)

読みやすさ: S(とても読みやすい翻訳でストレスなく楽しめました)

再読したい度: C(再読はボリューム的に覚悟が必要です)

おススメ指数 S
人の心の闇を見事に表現した作品でした。

 

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感想

パリの路地裏で、両頬を耳まで切り裂かれた女性の変死体が発見されます。事件を担当することになったパリ警視庁の捜査官 ステファン・コルソは独自の手法で捜査を行っていきます。捜査線上に浮かびあがったのは、一人の画家 ソビエスキ。しかし彼には事件当時のアリバイがありました。それでも、コルソはソビエスキが犯人であると確信し、証拠を掴むために奔走します。果たしてソビエスキは本当に犯人なのか?読者はコルソと共にソビエスキと事件との関係を追っていくことになります。

本作で特筆すべきは、主人公であるコルソの人間性が言動や行動から伝わるよう緻密に描写されている点でしょう。不遇の少年時代を過ごし、ドラッグに溺れていた彼は、捜査部長のカトリーヌ・ポンパールに救われる形で警察官として働く事になります。結婚生活が破綻し、警察でもアウトサイダーである彼は、通常の警察官とは異なる型破りな単独捜査を行うことで自らを表現しています。コルソの行動が真相の解明にどう影響していくのかも注目ポイントです。

なお、本作ではフランシスコ・デ・ゴヤが描いた作品の存在が、事件に大きな影響を与えます。ゴヤといえば、自身の住居である『聾者の家』で、「黒い絵」と呼ばれる複数のおぞましい絵画を飾っていた事が有名ですが、本作では「赤い絵」が重要なキーアイテムになっています。本作は絵画ミステリーとしても魅力的な作品です。

また、絵画ミステリーだけでなく、性倒錯、アクション、刑事裁判といった様々な要素が詰め込められておりまず。しかしながら、決して複雑な構成になっているわけではなく、読者を突き放す事がない絶妙のバランスで成り立っています。なお、本作はS&Mなどの性的表現・残酷描写が非常に多い為、苦手な方はご注意ください

近年、ピエール・ルメートルやミシェル・ビュッシといったフランス作家の作品が国内のミステリベスト10(海外編)上位にランクインすることが多いですが、本作も上位にランクインする作品である事は間違いないです。非常に重厚感のある作品で読了には時間がかかりますが、じっくりとサスペンスを楽しみたい方は是非とも本作をチェックいただければと思います。

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