『笑わない数学者/森博嗣』:S&Mシリーズ第3作♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は森博嗣作、「笑わない数学者」をご紹介します。本作は犀川&萌絵のS&Mシリーズ第3作です。本作から読んでも楽しむ事はできますが、個人的には第1作の「すべてがFになる」から読んでいただく事をおススメします。

 

第1作の「すべてがFになる」では衝撃度の高い殺人事件に圧倒され、第2作の「冷たい密室と博士たち」では非常に洗練された密室トリックが披露されました。一方、本作はトリックの難易度としては前作と比較しても易しく設定されているものの、天才数学者・天王寺翔蔵の登場によって独特の世界観を感じられ、読み物としても非常に完成度の高い作品であると個人的には思っております。

ズバリ、この作品は、

『軽快な会話で進行する理系ミステリーを読みたい』人向けです。

 

概要

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(トリックとしてはわかりやすいかもしれません)

文章構成: S(最後の終わり方は好きですね)

登場人物: A(本作の犀川は良く喋る(笑))

読みやすさ: S(軽快な会話で読者を飽きさせません)

再読したい度: S(何回も読み直してますが読み物としてやはり面白い)

おススメ指数 S
S&Mシリーズでは個人的には一番好きなお話です。

 

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感想

本作は、友人である片山和樹に招待され、西之園萌絵は犀川助教授と共に天才数学者である天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」へ向かいます。12年前に天王寺博士が庭にある大きなオリオン像を消失させたという話を聞いた萌絵は、天王寺博士に再度オリオン像の消失を依頼します。天王寺博士は見事にオリオン像を消失させますが、次の日の朝、オリオン像と共に2つの死体が発見されます。果たして誰がやったのか?オリオン像の消失とは関係があるのか。犀川・萌絵コンビがこの謎に挑みます。

前述した通り、本作はトリックとしては前2作と比較しても易しめに設定されているように感じます。あくまで個人的な解釈ですが、これは作者の意図したものであると個人的には考えております。それでもこの作品が魅力的なのは、登場人物達のやりとりが非常に面白く、惹きこまれる程の独特の世界観が演出されていることでしょう。

作中では天王寺博士や犀川助教授を中心として、数学に関する彼らの考え方が盛り込まれておりますが、これが非常にわかりやすくて興味深いです。

天王寺博士:「人が、自分以外の存在に何かの影響を及ぼすとしたら、それは思考によってであり、そして、自分の存在を確認する作業によってだ。その思考運動が、外界を定義し、同時に自らの存在を認識させる。」

認識とは自身が定義することで初めて生じる、という考え方が非常に面白いなと感じました。例えば、自由という概念は、思考を持つ人間が定義することで初めて生じる概念であると作中で述べられています。この考え方が作品の根幹に存在していることで、非常に洗練された芯のある作品として仕上がっているのではないかと本作を読んで感じました。

本作はミステリー作品としてだけでなく、読み物としても楽しめる作品ですので、理系ミステリーが好きな方、或いは抵抗がない方には是非ともお試しいただきたい作品です。未読の方は、せっかくですので是非とも第1作の「すべてがFになる」からお試しいただければと思います。

 

 

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