個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は山田彩人作「眼鏡屋は消えた」をご紹介します。本作は第21回鮎川哲也賞を獲得した作品です。
本作を手に取ったきっかけは、可愛い表紙と「眼鏡屋は消えた」というキャッチーなタイトルでした。読んでみると、学園を舞台としたライトな語り口で進行しながらも、肝となる部分はしっかりと練られたミステリーが展開される作品でした。
ズバリ、この作品は、
概要
部室で目覚めると、8年間の記憶が失われ高校時代に逆戻り。あたしを先生と呼ぶ生徒のおかげで、母校で教師をしているらしいことは分かった。しかも親友の実綺は高2の文化祭直前に亡くなっているなんて――。二人で演劇部として『眼鏡屋は消えた』を上演させるべく盛り上がっていたのに何が原因で? 今年の文化祭で念願の『眼鏡屋は消えた』を実演させるため、あたしは事件の真相を探ることを頼んだ。もっとも苦手とする、イケメンの同級生・戸川涼介に。
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: B(しっかり練られた理詰めミステリー)
文章構成: B(絡まった謎をほどく解決編は良くできていました)
登場人物: C(主人公のノリの軽さは好き嫌いが分かれるかも)
読みやすさ: B(ライトな語り口で読みやすくはあります)
再読したい度: B(会話文が多いですが慣れれば楽しめます)
コメディータッチの文章ですがちゃんと本格ミステリーでした。
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感想
演劇部の部室で突然目が覚めた主人公・藤野千絵。気づいたら8年間の記憶がなく、教師として演劇部の顧問をしていることがわかります。学園祭に向けて生徒たちが演じているのは親友・実綺が脚本を書いた『眼鏡屋は消えた』という演劇。親友・実綺は8年前の学園祭で『眼鏡屋は消えた』を上演する直前に自殺していることを知ります。不審に思った千絵は同級生の戸川涼介と共に8年前の親友の自殺の真相を探ることになります。
本作はヒロインの千絵を語り手、同級生の涼介を探偵役として進行します。千絵は8年間記憶を失っているため、中身は女子高生なんです。そのため、非常にライトな語り口で物語が進行していきます。ところが、そこは鮎川哲也賞作品。しっかりとミステリーとして非常に論理立った推理(推論?)が進行してきますので、ミステリーとして楽しめる作品に仕上がっております。
また、『眼鏡屋は消えた』という演劇を巡る謎がストーリーを面白くしています。『眼鏡屋は消えた』は過去に学園で自殺した橋本ワタルという男子高校生を題材として自殺した親友がフィクション化したお芝居なんですが、どうやらこの芝居内容に親友の死の謎を解く真相がありそうだと判明します。一つのお芝居を巡って複数の事件が複雑に絡み合っていきます。
8年間の記憶喪失に陥った語り手を主人公とした趣向を凝らした作品です。果たして親友の死の真相は解明されるのか。コメディータッチのミステリーでも読んでみたいという方は是非本作をチェックされてはいかがでしょうか。