個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2019年刊行、青柳碧人作「むかしむかしあるところに死体がありました。」をご紹介します。本作は、日本昔ばなしを題材とした本格ミステリー5編を収録した短編集です。
魅力的なタイトルに惹かれて手に取った本作。日本昔ばなしをベースとしつつも、あくまで本格ミステリーを展開していきます。また、5編全てが昔ばなしの設定をうまく活用した作品であり、純粋に読んで良かったと思える作品でした。
①「一寸法師」 ⇒ 「一寸法師の不在証明」
②「花咲かじいさん」 ⇒ 「花咲か死者伝言」
③「鶴の恩返し」 ⇒ 「つるの倒叙返し」
④「浦島太郎」 ⇒ 「密室竜宮城」
⑤「桃太郎」 ⇒ 「絶海の鬼ヶ島」
ズバリ、この作品は、
概要
昔ばなし、な・の・に、新しい!鬼退治。桃太郎って……え、そうなの?大きくなあれ。一寸法師が……ヤバすぎる!ここ掘れワンワン。埋まっているのは……ええ!?
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」といった皆さんご存じの《日本昔ばなし》を、密室やアリバイ、ダイイングメッセージといったミステリのテーマで読み解く全く新しいミステリ!「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の全5編収録。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: A(鬼視点の桃太郎は新鮮に感じました)
文章構成: A(最後のオチも好印象)
登場人物: B(登場人物達の程よいブラックさを楽しめました)
読みやすさ: S(非常に読みやすく世界観にも入っていけます)
再読したい度: S(続編を期待したいですね)
発想の勝利ですね。純粋に面白いと思える作品でした。
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感想
日本昔ばなしを独自の解釈でミステリーにしてしまった本作。一寸法師の打ち出の小槌など、昔話のキー要素をうまく利用することにより、5編全ての物語が良質のミステリーに仕上がっています。題材が昔ばなしだからといって、決して子供向けではありませんのでご注意ください。
「一寸法師」、「花咲かじいさん」、「鶴の恩返し」、「浦島太郎」、「桃太郎」という誰もが知っているお話が、少しブラック要素が追加されてミステリーになっております。特に興味深かったのは、「桃太郎」を題材とした「絶景の鬼ヶ島」です。この物語は鬼視点で描かれており、桃太郎と手下達の残酷さが強調されています。人間視点だと鬼の恐ろしさを感じるお話が、鬼視点だとこうも変わるのかと新鮮に感じました。
一方で、ミステリー視点で昔話を考えた場合、動物が人に化けたり、打ち出の小槌などの特殊アイテムがあったり、結構非現実的なお話なんだなと改めて感じました。そういった側面もあり、結構何でもありな展開はご愛嬌ですね。本作はじっくり考えるミステリーというよりは、あまり考えずにミステリーを楽しむ作品かもしれませんね。
日本昔ばなしをミステリー化するという奇抜なアイディアを見事に具現化した本作。昔ばなしの違った側面を楽しみながら良質ミステリーを堪能することができます。もし興味を持たれましたら、是非とも本作をチェックしていただければと思います。