『レジまでの推理/似鳥鶏』:万引き、ダメ。絶対!!

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2016年刊行、似鳥鶏作「レジまでの推理」をご紹介します。人気若手作家・似鳥鶏さんの本屋さんを舞台にした連作短編集ですね。

本ブログでも何度かご紹介している似鳥鶏作品。特に2018年刊行の「名探偵誕生」はミステリーとしても完成度の高い作品であると感じました。ご興味のある方はこちらも是非チェックしてみてください。

 

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本作は、本屋でバイトしている主人公とその同僚達が、店内で起こる不思議な事件を解決していく作品です。一方で、作中にて本が売れなくなっている現状や万引きの問題など現代の本屋を取り巻く厳しい現状を赤裸々に描いており、本好きとしても非常に考えさせられる内容でした。本が好きな方には是非とも読んでほしい作品です。

ズバリ、この作品は、

『本屋を舞台とした良質ミステリーに興味がある』人向けです。

 

概要

荷ほどき、付録組み、棚作り、ポップ描きにもちろんレジ。お客さまの目当ての本を探したら、返本作業に会計、バイトのシフト。万引き犯に目を光らせて、近刊のゲラを読んで、サイン会の手配をして…、書店員って、いったいいつ寝るの?力仕事でアイディア仕事で客商売。書店員は日夜てんてこ舞い。しかも、彼らは探偵という特殊業務まで楽しげにこなしてしまうのです。渇いた現代社会の知のオアシス、本屋さんにようこそ!(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: A(見事にやられてしまいました)

文章構成: S(短編4作の本屋を舞台にした連作短編集です)

登場人物: A(バイトだけどそれぞれの本屋への想いが伝わってきて良かった)

読みやすさ: S(丁度良いテンポで進行しますし、大変読みやすいです)

再読したい度: A(次回作があれば是非読みたいです)

おススメ指数 A
そうだ、本を買いに行こう。

 

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感想

本作は、本屋さんでバイトしている主人公・青井くんと店長を中心とした書店員達が、店内で起きた不思議な出来事や事件を解決していくお話です。短編4編からなる連作短編集になっておりますので、気軽に楽しむことができる作品となっております。

似鳥鶏さんの作品だけあって4編通して“謎”が高クオリティである事も本作の魅力なんですが、もう一つの魅力は、本屋さんの内情をしっかりと描いている点だと思います。バックヤードでの本好きの会話、品出しの大変さ、販促グッズの取り扱いなど、「なるほど、書店員さんってこんな事までやってるんだな」と書店員未経験の私にとってはワクワクさせるお話も随所に盛り込まれています。

一方で、BOOK OFFなど古書店の存在やAmazonなど通販の台頭による売上の低下といった本屋さんの厳しい現状も描かれています。私自身も図書館に行くことが好きで図書館で本を借りることも多いです。本作を読んで「気に入った作家さんの本は応援する意味も込めて買わないとな~」、と改めて感じた次第です。

また、万引きの問題など読んでいて非常に悲しくなる部分もありました。特に万引きは切実な問題で、この世から万引きが無くなれば書店の儲けは三倍になるそうです。本好きにとっては非常に腹立たしい事です。本屋さんだけでなく他のお店でもそうですが、絶対やってはいけない事ですし、法改正や対策を含めて社会がもう少し厳しい目で見ていかなければならないなと個人的には思います。

また、本作もあとがきが非常に秀逸です。(笑) 似鳥鶏さん、”あとがき”が一番力が入っているんじゃないかと考えずにいられない出来です。特に本作の「ピータン論」は面白さを通り過ぎて感動すら覚えました。似鳥さんには是非とも”あとがき”だけで1冊書いてほしいです。

本屋を舞台にした良質ミステリーである本作。あとがきまで含めて非常に面白く読める作品ですので、興味を持たれましたら是非とも”書店にて“チェックしてみてください。

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