個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2018年刊行、長岡弘樹作「救済」をご紹介します。講談社から発行されている文芸誌『メフィスト』に掲載された6つの短編から成る作品です。
短編ミステリーの名手と呼ばれる長岡弘樹さんの短編集であり、「読まない手はない」ということで手に取ることにしました。「救済」というテーマに沿った短編なのですが、単に救済といっても様々な形の「救い」があるんだなと実感させられる作品。しかも、すべての作品がミステリーとしてしっかり伏線が張られた安定感のあるお話ばかりで、全体を通じてまとまりのある良質の短編集でした。
ズバリ、この作品は、
概要
その行為に「救い」が? 心を揺さぶる六篇の極上ドラマ。『教場』の著者が紡ぐミステリ集! 不始末を犯したかつての弟分の落とし前をつけるため、兄貴分がとった行動は?(「最期の晩餐」)元警察官が殺害現場で綿密な証拠隠滅を図る。親子の刑事は真相を見破れるのか。(「ガラスの向こう側」)放火犯として刑事に疑われた知的障害のある少年。夏休みの予定を時間割として書くことに容疑と関わりが?(「夏の終わりの時間割」)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: A(短編なのにしっかり構成されたミステリー)
文章構成: B(全てのお話が一筋縄ではいかないです)
登場人物: B(身近でもありえそうなのが良い)
読みやすさ: A(安定感もあり気軽に読めます)
再読したい度: B(やっぱり長編が読みたくなりますね)
良質ミステリーを6つも味わえるというお得感が感じられる作品でした。
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感想
本作は、認知症、知的障碍、震災など様々な社会的要素をうまくミステリーと融合させることで、謎解き要素だけでなく、ヒューマンドラマまでも短いお話の中に表現されています。ゆえに、すべての短編で伏線からオチまでしっかりまとまった安定感のある作品に感じられました。
読み進める中では、タイトルの「救済」という意味について深く考えなかったんですが、読み終えた後に考えてみると、このタイトルの意味について自分なりに理解することができました。様々な形での「救い」というものが様々な登場人物とミステリーによって表現されています。
長岡弘樹さんの作品は本当に安定感がありますね。短編それぞれに独特の読後感を感じられるのも本作の素晴らしいところかと思います。ページ数も少なく気軽に読むことができますので、長岡弘樹作品を未読の方は、是非本作から読んでみてはいかがでしょうか。