『探偵は教室にいない/川澄浩平』:日常の謎が彩る爽やか青春ミステリー♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2018年川澄浩平デビュー作、「探偵は教室にいない」をご紹介します。本作品は第28回鮎川哲也賞受賞作です。鮎川哲也賞といえば、前年は「屍人荘の殺人」、その前年は「ジェリーフィッシュは凍らない」と非常に完成度の高い作品が続きました。特に「屍人荘の殺人」は破天荒な作品でしたね。未読の方は是非チェックしてほしい作品です。

 

 

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「屍人荘の殺人」の次年度の鮎川哲也賞とあって期待度は高まりますが、本作はなんと王道の青春ミステリー、しかも連作短編集でした。読んでみると、「日常の謎」を爽やかに描いた非常に魅力的な作品でした。ミステリーを普段読まない方でも気軽に楽しむことができる良作だと感じました。

 

ズバリ、この作品は、

『爽やかな青春ミステリーを読みたい』人向けです。

 

概要

わたし、海砂真史には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校に入って以来、長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼―鳥飼歩は、九年ぶりに再会を果たす。日々のなかで出会うささやかな謎を通して、少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。青春ミステリの新たな書き手の登場に、選考委員が満場一致で推した第28回鮎川哲也賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(日常の些細な謎をうまく描いています)

文章構成: A(連作短編集ですが各話魅力的)

登場人物: B(キャラクター達の適度の距離感がステキ)

読みやすさ: A(上品な中学生の会話が好印象)

再読したい度: B(次作もこの温度感を維持してほしいです)

おススメ指数 B
王道の爽やか青春ミステリー、素敵でした。

 

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感想

本作は、「学園ミステリー+日常の謎」という非常にシンプルなテーマです。設定として変わっているといえば、タイトル通り「探偵役の少年が学校に行っていない」ことぐらいでしょうか。探偵役の少年が、幼馴染の少女から自身が体験した不思議な出来事を聞きながら解決の糸口を探るという「安楽椅子探偵」スタイルです。

 

学園ミステリーという使い古された設定ながら、それでも本作が素晴らしいと思える理由の一つとして、登場人物それぞれのキャラクター一人ひとりが非常に丁寧に描かれている点が挙げられます。キャラクターが立っており、彼らの住む世界にすんなり入っていくことができます。物語の舞台となる北海道・札幌の風景が思い浮かぶほどの丁寧な自然描写も好印象でした。

 

もう一つは、青春ミステリーと侮るなかれ、論理立てて丁寧に説明されており、納得性が非常に高い点です。、ミステリー好きとしても満足できるようロジックにこだわられているのが伝わってきます。とにかく印象が良い作品ですね。

 

決して派手さはないですが、不思議と心地よい満足感を与えてくれる作品です。また、ページ数も少なくまとめられており、気軽に楽しむことができる為、青春ミステリーが好きな人・普段読まない人のどちらにもおススメしたい良作でした。近年の鮎川哲也賞にハズレなしです。もしご興味がありましたら是非ともご一読いただければと思います。

 

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