『名探偵の証明/市川哲也』:老いた名探偵の生き様を描いた作品♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2013年発表、市川哲也作、「名探偵の証明」をご紹介します。こちらの作品は第23回鮎川哲也賞受賞作品です。

名探偵の証明というタイトルである事と、鮎川哲也賞受賞作品ということで、本格ミステリーを期待していました。いざ読んでみると、名声を失った元名探偵が老いを自覚しながらも 今一度再興するために必死にもがく姿が描かれており、ミステリーというよりとは”一人の男の栄枯盛衰を描いた物語“という印象を受けました。

ズバリ、この作品は、

『少し変わったテーマの探偵物が読みたい』人向けです。

 

概要

そのめざましい活躍から、1980年代には推理小説界に「新本格ブーム」までを招来した名探偵・屋敷啓次郎。行く先々で事件に遭遇するものの、ほぼ十割の解決率を誇っていた――。しかし時は無情にもすぎて現代、60代となったかつてのヒーローはある事件で傷を負い、ひっそりと暮らしている。そんな屋敷のもとを、元相棒が訪ねてきた。資産家一家に届いた脅迫状の謎をめぐり、探偵業の傍らタレントとしても活躍している蜜柑花子と対決しようとの誘いだった。人里離れた別荘で巻き起こる密室殺人、さらにその後の屋敷の姿を迫真の筆致で描いた長編ミステリ。

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: B(本格ミステリーを期待しない方が良いかも)

文章構成: B(人間の老いと苦悩が良く表現されています)

登場人物: A(必死にもがく主人公に”男”を感じた)

読みやすさ: B(中盤:読みづらいかな→終盤:良い展開に)

再読したい度: B(作者さんのミステリー愛が感じられました)

おススメ指数 B
探偵しかできない男の生き様がカッコよかったです。

 

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感想

往年の名探偵・屋敷啓次郎は、ある事件がきっかけで一線から退きますが、当時のコンビであった元刑事の武富竜人と共に、再度殺人事件に挑みます。そして、現代の名探偵・蜜柑花子との出会いをきっかけとして屋敷の人生は大きく変わっていくことになります。

本作はミステリーを期待しすぎると肩透かしを食うかもしれません。確かにミステリー作品ではありますが、どちらかというと過去の名探偵の苦悩が焦点として描かれている印象を受けました。探偵しかできない男の挫折と現状にもがく姿が哀れに思える程丁寧に書かれているため、”一人の男の物語“として非常に楽しむことができました。

名探偵の「その後」を描いた作品。”探偵物好きな方”は是非ともご一読いただければと思います。

 

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