『償いの雪が降る/アレン・エスケンス』:タイトルのイメージとは異なり人の温もりを感じられる良作♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は、アレン・エスケンス作のアメリカミステリー「償いの雪が降る」をご紹介します。日本では2018年12月に創元推理文庫から翻訳版が発売されました。原題は「The Life We Bury」です。

 

邦題からは少し暗いイメージを受けて読み始めましたが、中身自体は、ある男子学生が大学の課題で「年長者の伝記」を書くために30年前の少女殺人事件の犯人にインタビューすることになり、彼の過去を振り返る中でこの事件の真相を探っていくというもの。

 

非常にシンプルなミステリーなんですが、30年前の事件を主人公のジョーの心境を組み合わせることで非常に深みのある良作に仕上がっておりました。是非ともおススメしたい作品です。

 

ズバリ、この作品は、

『温もりを感じさせる良質ミステリー』人向けです。

 

概要

授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。話を聴いてジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始めるが…。バリー賞など三冠の鮮烈なデビュー作!(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: A(謎はあくまで一要素、一つの作品として素晴らしい)

文章構成: A(王道の展開なんですがとにかくハラハラさせられます)

登場人物: S(一人の男の為に頑張るジョーがカッコいい)

読みやすさ: S(務台夏子さんの訳がとにかく素晴らしい)

再読したい度: S(また読みたくなる作品でした)

おススメ指数 S
今年度のミステリランキングにも入る作品ではないでしょうか。

 

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感想

本作はシンプルなミステリーなんですが、主人公ジョーや周囲の人間の人物描写が非常に丁寧に描かれており、作品として非常に深みのある作品でした。家庭環境に苦労してきたジョーが、30年前の少女殺人事件で有罪判決を受け現在は末期がんに侵されたカールと出会い、この事件の真相を探ることを通じて成長していきます。

 

「過去の事件を振り返る」という、ストーリーとしては聞いたことがあるような設定なんですが、本作は主人公が「ただの学生」であるために色々制限があるところが面白い点ですね。学生であることから刑事のように聞き込みができない分、うまく立ち回っていかなければなりません。それだけにこちらもハラハラする展開が続きます。

 

そして、終盤は結末に向けてどんどん加速していきます。途中からは主人公のジョーに感情移入して、「隠れて!」「いまだ!」と応援することに。(笑) 序盤の落ち着いた展開からは想像できないラストへと導かれていきます。

 

恐らく今年度の本格ミステリ・ベスト10にもランクインするであろう本作。早いうちに楽しんでおきましょう。普段ミステリーを読む人・読まない人どちらの方にも楽しんでいただける作品かと思います。

 

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