『イヴリン嬢は七回殺される/スチュアート・タートン』:タイムループ×人格転移のミステリー

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2019年に刊行された、スチュアート・タートン作「イヴリン嬢は七回殺される」をご紹介します。本作は著者のデビュー作であり、コスタ賞最優秀新人賞を受賞した作品です

 

タイムループ×人格転移」ミステリーという、自然と期待度が高くなってしまう組み合わせの本作。この組み合わせは、西澤保彦さんのタイムループモノ「七回死んだ男」と、人格転移モノ「人格転移の殺人」を思い浮かべてしまい、どうしても期待してしまいますね。ちなみに、どちらも素晴らしい作品ですので、これらの作品を未読の方は、是非ともチェックしていただければと思います。

 

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そして、本作ですが、メチャクチャ複雑です。(笑)

タイムループに無理やり人格転移の要素が詰め込められている事と、独特の言い回しもあって、読む人を選ぶ作品ではあるかと思います。ただ、終盤にはタイムループ物でしか味わえない醍醐味もあり、根気強く読んでいくと最後には楽しめる出来になっております。

 

ズバリ、この作品は、

『じっくり読めるタイムループミステリーを読みたい』人向けです。

 

概要

 

森の中に建つ屋敷“ブラックヒース館”。そこにはハードカースル家に招かれた多くの客が滞在し、夜に行われる仮面舞踏会まで社交に興じていた。そんな館に、わたしはすべての記憶を失ってたどりついた。自分が誰なのか、なぜここにいるのかもわからなかった。だが、何者かによる脅しにショックを受け、意識を失ったわたしは、めざめると時間が同じ日の朝に巻き戻っており、自分の意識が別の人間に宿っていることに気づいた。とまどうわたしに、禍々しい仮面をかぶった人物がささやく―今夜、令嬢イヴリンが殺される。その謎を解かないかぎり、おまえはこの日を延々とくりかえすことになる。タイムループから逃れるには真犯人を見つけるしかないと…。悪評ふんぷんの銀行家、麻薬密売人、一族と縁の深い医師、卑劣な女たらしとその母親、怪しい動きをするメイド、そして十六年前に起きた殺人事件…不穏な空気の漂う屋敷を泳ぎまわり、客や使用人の人格を転々としながら、わたしは謎を追う。だが、人格転移をくりかえしながら真犯人を追う人物が、わたしのほかにもいるという―英国調の正統派ミステリの舞台に、タイムループと人格転移というSF要素を組み込んで、強烈な謎とサスペンスで読者を離さぬ超絶SFミステリ。イギリスの本読みたちを唸らせて、フィナンシャルタイムズ選ベスト・ミステリ、コスタ賞最優秀新人賞受賞。多数のミステリ賞、文学賞の最終候補となった衝撃のデビュー作!(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: B(アドベンチャーゲームを見させられている感覚)

文章構成: B(最後まで読む事でようやく楽しめました)

登場人物: C(登場人物が多く、キャラの特色も掴みづらかったかな)

読みやすさ: C(設定が詰め込められているので、結構読むのが大変です)

再読したい度: B(やりたい事を詰め込んだ感じでもう少し要素を減らしても良かったかな)

おススメ指数 B

これは好みがわかれるかもしれません。普段翻訳ものを読まない方は苦しいかも。

 

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感想

 

ある一人の男が「ブラックヒース館」という場所で目覚めるところから始まる本作。周囲の人物から「ベル」と呼ばれたその男は、自身を記憶喪失状態であると理解します。ところが、次の日に目を覚ますと別の登場人物として同じ朝を迎えることに。その1日では、必ずブラックヒース館の令嬢・イヴリンが殺されてしまいます。どうやら、このイヴリンを殺した犯人を見つけるまでこの恐るべきタイムループを抜けることができないよう。8人の様々な「宿主」に転移しながら、このブラックヒース館に潜む真相を解明し、タイムループからの脱出を試みます。

 

本作は、タイムループ・人格転移の要素以外にも様々な要素が複雑に絡み合っています。突然現れる<黒死病医師>の姿をした男。謎の女「アナ」。主人公の宿主の命を狙う存在である<従僕>。これらの要素が、かなり複雑に関係しているので、読みながら頭を整理していく必要があります。主人公に与えられたのは、8人の宿主を操ることができる8日間(実質は事件当日1日ですが)。その中には、医師や巡査などの特殊な能力を持つ人物もおり、彼らの能力を巧みに利用しながら、イヴリンを狙う真犯人を追う事になります。タイムループ物なんですが、各回で行動範囲が宿主によって変わっていく事が本作の特徴です。また、宿主の人格もある程度残っており、主人公の意思とは別に行動を起こしてしまう事も興味深い点ですね。宿主が「暴力的な男」の場合は、ついつい手が出てしまい窮地に陥る可能性があったりと、通常のタイムループとは違った醍醐味を味わうことができます。

 

本作はどちらかというと、アドベンチャー要素が強くゲームのような雰囲気を味わえますので、タイムループ物のアドベンチャー小説として読むと面白く読めるかと思います。一方でで、「館ミステリー」を期待するとイメージとは違うかもしれません。また、普段海外の翻訳ものを読まない方は独特の言い回しに苦労するかもしれないと感じました。登場人物も多いからか、主語が間違っていたりと所々誤訳が見受けられたところも気になりました。

 

謎の人物<従僕>に宿主の命を奪われて、次第に残り時間を奪われていく主人公。果たしてイヴリンを殺した真犯人を見つけることができるのか。もしご興味を持たれた方は是非ともチェックしていただければと思います。

 

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