個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2012年刊行、小川一水作「トネイロ会の非殺人事件」をご紹介します。本作は表題作を含む3作を収録した短編集です。
表題作の「トネイロ会の非殺人事件」は、なんと『誰が犯人でないか』に焦点を当てた「非犯人」を推理する異色フーダニットです。これだけでも一読の価値があるかと思います。
その他、宇宙飛行士になる為の訓練施設という密室で起きる殺人事件を扱った「星風よ、淀みに吹け」と、死ぬ間際まで会う事がなかった資産家の父の遺言で突然屋敷を相続することになった少女が遺言の謎を探る「くばり神の紀」と、粒ぞろいの短編集です。SF作家の小川一水さんが描くミステリーという事で、ミステリーを普段読む方にとっても刺激的なお話が並びます。
ズバリ、この作品は、
概要
森のペンションに集った十人の男女。恐喝を受けた相手を全員で協力し殺害するが、裏切り者がいることが判明する。殺人に手を下さなかった一人は誰だ?(表題作)。その他、閉鎖された宇宙訓練施設で起こる毒ガス殺人事件(「星風よ、淀みに吹け」)、父の遺言の不審点を調べるうちに、壮大な謎に遭遇する少女の物語(「くばり神の紀」)など、絶妙なトリックの三編を集めた傑作集。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: B(3編全て独自色が強く楽しめました)
文章構成: A(どのお話もオチがしっかりしています)
登場人物: B(短編にしては登場人物が多いので少し混乱するかも)
読みやすさ: A(ユーモラスな文章を楽しめました)
再読したい度: A(SF作品も読んでみたいですね)
「非犯人」を推理するという発想が面白いですね。
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感想
SF作品で著名な小川一水さんがミステリーを手掛けた本作。3編とも趣向を凝らした作品です。
1作目は、宇宙飛行士を養成するための訓練施設で起きた殺人事件の謎を解くミステリー。8ヶ月の共同生活を行う候補生達の中に犯人がいるのか。訓練施設という密室空間を巧みに利用したミステリーです。(宇宙兄弟でもありましたね)
2作目は、死ぬ間際まで会う事がなかった資産家の父の遺言で突然屋敷を相続することになった少女のお話。その村では、死ぬ前に「くばり神」という財産を分け与える神の伝説があり・・・。どこか不気味さを感じるんですが、だんだん惹き込まれてしまう独特の世界観をもつお話です。
3作目が、表題作の「トネイロ会の非殺人事件」です。十人の男女が、ある男を共同で殺害するための策を練ります。しかしながら、そこには手をくださなかった裏切り者が・・・。誰が殺人を犯さなかった『非犯人』なのか。そこには驚きの真相が隠されていました。
3作とも短いながらも非常に内容の濃いお話ばかりでした。恐らく読者によって一番面白かったお話は異なるかと思います。それだけ各話独立して楽しめる作品集です。個人的には『トネイロ会の非殺人事件』が好きですね。
本記事を読んでいただき、興味を持たれましたら是非ともチェックしていただければと思います。
※ちなみに、「トネイロ」は英語では「TNEIRO」だそうです。ピンと来たあなたは立派なミステリー好きです(笑)