個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は1999年刊行、森博嗣作「そして二人だけになった」をご紹介します。賛否両論ある本作ですが、森ワールド全開のクローズドサークル物で、他にはない作品だと個人的には感じておりますので今回ご紹介したいと思います。
タイトル通り、アガサ・クリスティの名作ミステリー「そして誰もいなくなった」を意識して執筆された作品ですね。こちらの作品は「絶海の孤島」を舞台にしたクローズド・サークルの代表作品としてあまりにも有名です。アガサ・クリスティ作品の人気投票(公式)でも堂々の第1位を獲得しています。未読の方は是非ともおススメしたい作品です。
※ちなみに、アガサ・クリスティ人気投票作品(公式)の第2位と第3位はドラマ版ポワロの記事でご紹介しております。
1989年から2013年にかけて、イギリスのロンドン・ウィークエンド・テレビが主体となって制作した、ドラマ版「名探偵ポワ…
一方で、本作は核シェルターという閉鎖空間(クローズドサークル)で発生する連続殺人。登場人物の数から何人死んでしまうかわかってしまいます。(笑) それでもトリックが気になって読み進めてしまい、最終的には森ワールドにハマってしまうという不思議な作品です。
ズバリ、この作品は、
概要
とてつもなく大きな橋を支える巨大コンクリートの塊の中に、国家機密とされるシェルタがあった。現代の最高技術で造られたこの密室に滞在することになった六人が、一人ずつ殺される。痺れるような緊張感の中、最後に残った二人。そして世界が反転する―。謎、恐怖、驚愕。すべてが圧倒的な傑作長編ミステリィ。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: S(今読んでも美しいトリック)
文章構成: B(終盤は森ワールドが展開されます)
登場人物: B(森さん特有のユーモラスな会話は本作でも健在)
読みやすさ: A(500ページ長のボリュームながらも飽きませんでした)
再読したい度: A(2週目だけでなく3週目にも読後の印象が変わる不思議)
人がいなくなっていく中盤からのワクワク感はスゴイです。
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感想
本作は、A(明石?)海峡大橋を支える巨大なアンカレイジ(橋台)内部に建設された核シェルターを舞台としています。主人公は、建設費用を出資し自身も計画に携わった盲目の天才数学者・勅使河原潤の”弟”。これまでも兄・勅使河原潤から依頼され、本人になりすまして活動してきました。
今回ある実験で、勅使河原潤になりすました弟とそのアシスタント、計画に携わった科学者3名、医師1名の計6名が核シェルター内で共同生活することになります。次々に起こる殺人事件、登場人物達が退場していく中で最後に残った二人が取った行動とは・・・。
本作は、盲目の勅使河原潤になりすました弟と女性アシスタントという二人の視点が交互に展開されて物語が進行します。二人の視点から読者は犯人を推理していくわけですが、これが非常に難しい。途中から真相が気になってドンドン読み進めていくうちに森ワールドに惹きこまれてしまいます。解決編では美しいトリックが隠されております。
そして、議論を呼ぶラストですね。こればかりは読んでいただいてどう感じるかですかね。一つ言えるのは、単純明快な作品ではないということですね。個人的には初読、2週目、3週目で実はこうだったんじゃないかなと感じ方が毎回違います。それがこの作品のオモシロさであり、森博嗣作品が特異である所以ではないでしょうか。
好き嫌いの分かれる作品であるのは間違いありませんが、クローズドサークル物の中でもトリックが美しい作品の部類に入ると思います。本記事を読んでいただき、もしご興味を持たれた方はチェックされてはいかがでしょうか。