『うつくしい繭/櫻木みわ』:人の記憶をつなぐ美しいデビュー作♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2018年12月刊行、櫻木みわ作、「うつくしい繭」をご紹介します。本作が櫻木みわさんのデビュー作ということですね。

本作を手に取ったきっかけは、講談社ノベルスのHPで大々的に宣伝されていたからですね。「ゲンロン 大森望 SF創作講座」出身ということで、SF要素が強いのかな?と想像して読み始めました。読んでみると、東ティモールやラオスといった発展途上国の現状をありのままに表現しつつ、見事にSF要素を融合させた良作でした。作品を通して、「戦争・そして平和への願い」・「人のつながりの美しさ」といった作者の伝えたい想いが感じられました。

ズバリ、この作品は、

『不思議で美しい世界観を感じたい』人向けです。

 

概要

まだ誰も知らない、しかしその才能は本物。「ゲンロンSF創作講座」出身・櫻木みわ、デビュー。東ティモール、死者の“声”を聞く少女アニータ。ラオスの山奥、親友と婚約者に裏切られたレモネード。南インド、兄のために癌の新薬を探しに来た中瀬。日本、南西諸島で不思議なとうめいの石を見つけたミサキ。四人の女性が、自らの五感を全開にするとき、世界はつながる。俊英の第一作品集!(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: 

文章構成: A(連作短編集でつながっています)

登場人物: B(とにかく出てくるご飯が美味しそう(笑))

読みやすさ: A(感覚的な表現が多いですが自然と入ってきます)

再読したい度: B(次作も期待したいですね)

おススメ指数 A
女性ならではの視点で記憶のつながりを描いた素敵な作品でした。

 

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感想

本作は4つの短編から成る「人の記憶とつながり」をテーマにした作品に感じました。この本を通じて自分達の知らない世界を旅しながら、登場人物達の記憶を辿っていくような感覚を体験することができました。

「苦い花と甘い花」:東ティモール

「うつくしい繭」:ラオス

「マグネティック・ジャーニー」:インド

「夏光結晶」:九州の離島

各話で「戦争」という問題が絡んでおり、特に発展途上国を題材にしたお話では、戦争の悲惨さ、社会の理不尽さが赤裸々に描かれており、作者の戦争や平和に対する想いが伝わってきました。

この本の印税の一部は、東ティモールのフェアトレード、インドの貧困女性の自立支援の取り組み、教育支援が必要なラオスの子どもたちに関わる小さな助けに使われるということですね。

読み進める内に、4つの短編は様々な要素でつながっていることがわかってきます。また、意図的に説明描写を省いているため、「これってさっきのお話のあの事かな?」といったように、読者の想像や判断に委ねているところも面白いですね。読み手によって感じる部分も異なってくるのではないでしょうか。

また応援したい作家さんが増えました。普段ミステリーばかり読む私でも「満足できる作品」でした。堂々のデビュー作だなと感じましたし早くも次回作が楽しみです。もし興味を持たれましたら、是非ともチェックしてみてください。

 

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