『吾輩はシャーロック・ホームズである/柳広司』:夏目漱石=ホームズ?のエンタメミステリー♬

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は柳広司作「吾輩はシャーロック・ホームズである」をご紹介します。本作は、イギリス留学中の夏目漱石が自身をシャーロック・ホームズであると思い込み、ワトスンと共に殺人事件を推理するという異色のミステリーです。

 

夏目漱石とホームズと言えば、本ブログでも島田荘司さんの「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」を以前ご紹介しました。こちらは、漱石視点とワトスン視点という2つの視点からホームズが描かれており、ミステリーとしても非常に完成度の高い作品でした。

 

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一方、本作はホームズ不在の中、夏目漱石がホームズとしてワトスンとタッグを組むという変則的な展開。この漱石ホームズとワトスンの「チグハグコンビ」が犯人にどうやって迫っていくのか?ホームズ作品と漱石作品の小ネタを楽しみながら読める作品となっています。

 

ズバリ、この作品は、

『小ネタを楽しみたいミステリーファン』向けです。

 

概要

ロンドン留学中の夏目漱石が心を病み、自分をシャーロック・ホームズだと思い込む。漱石が足繁く通っている教授の計らいで、当分の間、ベーカー街221Bにてワトスンと共同生活を送らせ、ホームズとして遇することになった。折しも、ヨーロッパで最も有名な霊媒師の降霊会がホテルで行われ、ワトスンと共に参加する漱石。だが、その最中、霊媒師が毒殺されて…。ユーモアとペーソスが横溢する第一級のエンターテインメント。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: C(トリックは非常にシンプル)

文章構成: B(途中で???になったけど理由は納得)

登場人物: S(ホームズになりきるナツメを温かく見守るワトスンが◎)

読みやすさ: A(漱石作品とドイル作品の小ネタを楽しめます)

再読したい度: A(作者の夏目漱石愛が伝わる作品です)

おススメ指数 B
ナツメ(ホームズ)とワトスンの不思議な冒険を楽しめます。

 

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感想

ある日、ワトスンのもとを訪問したのは、精神を病み、自らをシャーロック・ホームズであると思い込んでしまった夏目漱石でした。彼はホームズのように少ない手がかりから真相を推理しようと試みますが、本家のようにうまくいかず、ほぼ全て外れてしまう事に・・・。そんな漱石ホームズを優しく見守るワトスン。そんな2人が奇妙な殺人事件に遭遇し、謎の解明に挑むことになります。果たしてこのチグハグコンビは無事に犯人へ辿り着けるのか?

 

本作はホームズが不在の中、ホームズになりきる夏目漱石とワトスンの活躍を描いたミステリーです。真剣に推理して空回りする漱石に不覚にも笑ってしまいます。それを優しくフォローするワトスン、優しい・・・。原作とは少し(大きく?)異なる世界観にも関わらず、文体も非常に研究されていて、ホームズシリーズが好きな方も楽しめるのではないかと感じました。

 

また、文明批判・植民地支配への批判といった社会風刺のメッセージも本作には盛り込まれています。奇抜な設定でユーモラスな雰囲気が出ているものの、中身は案外シニカルでもあります。ホームズ作品のパロディではありますが、柳広司作品で多く扱われるような、当時の社会情勢に対するメッセージ性の高い作品でもありました。

 

夏目漱石ホームズとワトスン博士の不思議な冒険を描いた本作。果たしてこのチグハグコンビは事件の真相を解明することができるのか?もしご興味を持たれましたら本作をチェックいただければと思います。

 

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