『幽霊たち/西澤保彦』:あなたはこの人間関係についてこれるか?(笑)

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2018年6月刊行、西澤保彦作「幽霊たち」をご紹介します。

タイトルからも西澤さんお得意のSF設定を活用したミステリー小説を期待しましたが、蓋を開けてみると複雑な人間関係が描かれた、時間をかけて読むべき重厚ミステリーでした。過去の出来事をもとにして、説明されてきた人物相関と殺人事件が次第に繋がり明らかとなっていく終盤は、良い意味で驚きを味わえる展開の連続でした。

ズバリ、この作品は、

『じっくり時間をかけて咀嚼する濃いミステリーが読みたい』人向けです。

 

概要

死んだ者たちと交信可能な特殊能力を持つミステリ作家・横江継実のもとを刑事が訪ね「加形野歩佳(33)を知っているか?」と訊く。加形野歩佳は多治見康祐(57)を殺害し、早々に自首。殺された多治見は横江の元同級生で、加形は横江の親戚の息子だった。彼は、自首はしたが動機を語らず、ただ「理由を知りたければ横江継実に訊いてくれ」と語っているという。横江は加形とは面識もなく存在も知らなかったが、加形の父や多治見と過ごした40年前、幾つもの血族の婚姻が相関する岩楯一族と暮らした子ども時代を思い出す。すると記憶とともに饒舌な幽霊たちが入れ替わり立ち現れたのだった。見えなかった復讐と、さらなる復讐。しなくていい殺人の果てしない果て。40年前、資産家・岩楯一族を壊滅した秘密と嘘と誤解が、今、再び血の惨劇を引き起こす!超絶の本格ミステリ!(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: A(事件が起きた理由は最後まで読むことでスッキリします)

文章構成: C(少し助走期間が長いかな?)

登場人物: B(登場人物がかなり多いので理解に時間がかかります)

読みやすさ: A(テンポの良い会話で進行していきます)

再読したい度: B(2回読みたいけど少し時間をください(笑))

おススメ指数 B
序盤の”助走”が異様に長いですがそれを乗り切ると楽しめるはず。

 

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感想

ミステリ作家・主人公の横江継実のもとに、刑事が殺人事件の事情聴取に訪れます。内容は、「殺害された多治見康祐と、犯人の加形野歩佳という男を知っているか」というもの。多治見は横江の元同級生であり、加形野は親戚の息子でした。面識もなく一見関係性がなさそうな二人の間にどうして殺人が起きたのか知るため、横江は火災によって死亡した親族の幽霊・里沙と共に、40年前多治見や加形野の父と共に過ごした子供時代や、その時起こった忌まわしい事件を思い出しながら記憶を紡いでいきます。そこには驚きの真相が隠されていました。

本作は、横江には見える幽霊・里沙と共に過去の記憶を辿っていくわけですが、横江の視点と里沙の視点で過去に起こった出来事で若干見え方に違いが見られたりと、SF設定を有効に活用されているように感じました。難点としては、一つの家に住む人々の間に非常に複雑な血縁関係が構築されているため、家系図を理解するのが難しいことですね。時間をかけてじっくり読み進めたい方には本作はおススメしますが、もう少し気軽にミステリーを楽しみたいという方は別の西澤作品の方がいいかなと思います。

個人的に西澤さんの作品は大好きで本ブログでもこれまでご紹介しているのですが、本作は珍しく読むのが大変な作品でした。いつも以上に人物関係がややこしかったのが影響していますね。しかしながら、最後まで読んでみると中盤の回想シーンを長めに書いている理由も納得しますし、西澤さんらしいロジックに裏付けられたトリックを堪能できますので、最後まで読んで良かったなと思える作品でした。

複雑な人間関係が描かれた、まるで読者を試すかのような本作。長い助走の先には面白い終盤の展開が待っていますので、じっくり時間をかけて濃いミステリーを読みたい方は是非とも本作をチェックされてはいかがでしょうか。

 

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