個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。2019年8月刊行、クリス・マクジョージ作「名探偵の密室」をご紹介します。ロンドン大学シティ校で、クリエイティブライティング(犯罪小説/スリラー)の修士号を取得された著者のデビュー作です。
ハヤカワポケットミステリから刊行、「名探偵の密室」といういかにも本格ミステリ感を醸し出す邦題(現代はGuess Who)、「ミステリの本場英国から新本格派への挑戦状!」という煽り文句、の3拍子に思わず期待してしまい手に取った本作。しかしながら、想像とは全く違い、中身は映画になりそうな監禁系の脱出サスペンスでした。ミステリファンとしては、期待外れに感じるかもしれませんが、全体としてイギリスミステリとしては読みやすく、エンタメ小説としては楽しめる作品でした。
ズバリ、この作品は、
概要
かつて少年探偵として名を馳せたモーガン・シェパードは、いまやリアリティ番組で活躍する“名探偵”として数々の事件を解決している。だがある日、目覚めると何故かホテルのベッドに手錠で繋がれていた。周囲には見知らぬ5人の男女が。外へ出る手段がない中、バスルームで謎の死体が発見される。すると突然、備え付けのTVに男が映り、5人の中から3時間以内に殺人犯を見つけなければホテルごと爆破すると告げた。狂気の殺人ゲームが始まる…驚愕の真相が待つ、ミステリの本場英国から新本格派への挑戦状!(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: C(伏線は乏しいわりに犯人はわかってしまう不思議)
文章構成: C(ラストの余韻は・・・)
登場人物: C(登場人物が少ない割にはキャラ像はそこまで把握できず)
読みやすさ: A(ボリュームがある割には読みやすくサクッと読めました)
再読したい度: B(どちらかというスリラー系の方が得意とされているのでしょう)
おススメ指数 C
個人的には楽しめましたが、ミステリとして期待しすぎてはいけないかと。
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感想
イギリスのテレビ番組で、人々の嘘を暴く探偵役として人気者となったシェパード。休暇で訪れたパリで意識を失い、気がつくとロンドンの高層ホテルの一室に見知らぬ5人と共に監禁されていました。ホテルのバスルームにはシェパードと旧知の仲である臨床心理医・ウィンターの死体が・・・。すると、テレビ画面に馬のマスクの男が映り、「3時間以内に5人の中で殺人犯を探し出せ。さもないとホテルごと爆破する」と言われます。果たしてこのゲームの目的は?シェパードは殺人犯の正体を暴き、このホテルの一室から脱出することができるのか?
本作は、「密室」というよりは「監禁」、推理するには情報があまりにも乏しいという事で、「名探偵の密室」というタイトルとはいささか離れた作品である印象です。どちらかというと何も考えずに読んで楽しめる作品ですので、映画のようなサスペンス・スリラー系の作品が好きな方にはおススメできる作品ではないでしょうか。著者も、どちらかというと本格ミステリというよりはスリラー系の作品の方が好みじゃないかなという印象を受けました。
近年の出版業界、特に海外ミステリで見られる問題の一つに、「煽り文句やりすぎ問題」がありますね。確かに商業的には本を購入して読んでもらわなければ何もならない事はわかるんですが、期待している内容と中身がまるで一致していないと作品として適切に評価してもらえない可能性が高くなりますね。本作も、本格ミステリ感を醸し出すタイトル(現代はGuess Who)、「新本格派への挑戦状」という謳い文句は流石にやりすぎかなと感じました。サスペンス・スリラーとしては楽しめる作品でしたので、著者の意図と読者層とのギャップができそうな作品だなと感じます。
監禁×犯人当て×脱出ゲームという、サスペンス小説としては楽しめる作品でした。一方で、ミステリーを期待した方は肩透かしを食うかもしれません。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。