『愚行録/貫井徳郎』:凄惨な殺人事件の裏に隠された人間の闇

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2009年刊行、貫井徳郎作「愚行録」をご紹介します。再読することで、改め素晴らしい作品だと感じましたので、今回ご紹介したいと思います。ちなみに、本作は妻夫木聡さん、満島ひかりさん主演で映画化もされています。

 

ズバリ、この作品は、

『登場人物達の心情から真相を探るミステリーを読みたい』人向けです。

 

概要

 

ええ、はい。あの事件のことでしょ?―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。確かな筆致と構成で描かれた傑作。『慟哭』『プリズム』に続く、貫井徳郎第三の衝撃。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: S(事件に隠された真相に気づけるか)

文章構成: A(終盤の少しずつ霧が晴れる仕掛けはお見事)

登場人物: S(被害者の人物像が発言者によってここまで変わるとは・・・)

読みやすさ: S(インタビュー形式の語り口にどんどんハマっていきます)

再読したい度: S(忘れた頃に読み返したい作品)

おススメ指数 S

インタビュー形式で語られる被害者像から、人間の闇を感じました。

 

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感想

 

幸せな4人家族が惨殺されたある事件。隣人や学生時代の友人といった、被害者と接点あった人達へのインタビューによって少しずつ明らかになっていく「被害者像」。誰が凄惨な事件を起こしたのか? 理想の一家は何故殺されたのか?

 

本作は、インタビュー形式で様々な知人が事件の被害者(夫と妻)について語っていきます。非常に興味深いのは、話し手によって被害者のイメージ像が全く異なること。結局のところ、人間って客観的に相手を評価しているのではなく、相手と比較することで自分の立ち位置を見定めているんだなと本作を読んで感じます。登場人物達の発言は利己的に感じますが、自分自身も含めて良くこういう話するよなと思ってしまいました。そう思わせるような良い塩梅で登場人物達の心情が見事に描かれています。

 

また、「愚行録」というタイトルも秀逸ですね。被害者達の様々なエピソードを読み進める内に「あ~、愚行だな」と思うわけですが、決してそれだけではないタイトルの重みを読後に感じる事になるでしょう。あまり書きすぎるとネタバレになるのでやめておきますが、タイトルまで含めて本作は素晴らしい作品だと思います。

 

紹介にもあるように、「慟哭」、「プリズム」に続く、衝撃の作品です。凄惨な事件に隠された驚愕の真相とは?未読の方は是非とも本作をチェックしてみてください。

 

(参考)「慟哭」・「プリズム」

 

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