個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2020年1月刊行、村木美涼作「箱とキツネと、パイナップル」をご紹介します。本作は第6回新潮ミステリー大賞優秀賞受賞作です。
新潮ミステリー大賞優秀賞受賞作という前情報だけで読み始めた本作。途中まではアパートで暮らす個性豊かな住人との日常を描いた物語なのかなと思っていたら徐々にミステリー色が濃くなっていきました。浮遊感漂う新感覚のミステリー作品です。
ズバリ、この作品は、
概要
大学を卒業したばかりの僕の新居は、一見普通のアパート・カスミ荘。
でも、住人は揃って個性豊かだし、怪現象も続くし…。
この土地はキツネに祟られているという噂まであるらしい。
一体ここはどうなってるの!?ようこそ、カスミ荘へ。
楽しい隣人とたっぷりの不思議があなたを待っています。
新潮ミステリー大賞優秀賞受賞作品。
(「BOOK」データベースより)
RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: B(結末が見えるのも作戦の内?)
文章構成: B(不思議な読後感を味わえます)
登場人物: B(個性豊かな住人達に癒されました)
読みやすさ: B(人によって好みがありそうです)
再読したい度: B(次回作が楽しみです)
おススメ指数 B
理由はわからないが面白いと感じられる不思議な作品でした。
感想
ショッピングモールのスポーツショップへ就職する事となった坂出和也が新居に選んだのは一見普通のアパート「カスミ荘」。大家さんから定期的に送られてくる回覧メール、個性豊かな住人達との交感(交流?)があったりと新生活は刺激がいっぱい。ある時住人の一人から聞かされる「キツネ」の噂。そういえば、目の前の空き地から誰かが見ている気がする。果たしてこのアパートにはどんな謎が隠されているのか?個性豊かな住人達との新生活が始まります。
本作は個性豊かな住人達が住むアパートを舞台としたミステリー作品です。ミステリーといってもガチガチのミステリーではなく、どこか掴みどころのない象徴小説のような作品です。ミステリーを普段読まない方やたまにはトリックも何も考えずに読みたいという方にもおススメできる作品です。普段本格ミステリーを読んでいると、トリックやアリバイなんかを考えながら読むので結構疲れるんですが、この作品はどこか不思議な雰囲気があって深く考えずに作品の世界観を楽しむことができました。
また、本作では個性豊かなアパートの住人達が登場します。姿を見せず、回覧メールを送ってくる大家さん、他の住人の家で鍋をつついたり、BBQをしたり、今はこういうアパートは見かけないですよね。地域との交流が希薄になっているこの世の中でどこか「あたたかさ」を感じる作品です。現実世界を舞台にしながらもどこか違う世界のようなそんな不思議な物語でした。村木美涼さんの作品でしか味わえないであろう不思議な魅力がこの物語には詰まっていました。
新潮ミステリー大賞優秀賞受賞作である本作。掴みどころがなく説明が難しいんだけど面白い作品です。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。