『濱地健三郎の幽【かくれ】たる事件簿/有栖川有栖』:心霊探偵シリーズ第2作

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2020年5月刊行、有栖川有栖作「濱地健三郎の幽【かくれ】たる事件簿」をご紹介します。心霊探偵の濱地健三郎が活躍する心霊探偵シリーズ第2作です。

 

本作は、心霊現象を専門に扱う探偵「濱地健三郎」が奇妙な依頼を解決していく短編形式の作品です。ミステリー色はやや弱めながらも、心霊現象を利用した様々なバリエーションの謎を提示することで読者を飽きさせない作品となっています。シリーズ第2作ではありますが、第1作からでも本作からでもどちらでも楽しめるようになっています。

 

(参考)第1作:濱地健三郎の霊なる事件簿

 

ズバリ、この作品は、

『バリエーション豊かな心霊ミステリーを楽しみたい』人向けです。

 

概要

 

年齢不詳の探偵・濱地健三郎には、鋭い推理力だけでなく、幽霊を視る能力がある。
新宿にある彼の事務所には、奇妙な現象に悩む依頼人のみならず、警視庁捜査一課の強面刑事も秘かに足を運ぶほどだ。
助手の志摩ユリエは、得技を活かして、探偵が視たモノの特徴を絵に描きとめていく―。
郊外で猫と2人暮らしをしていた姉の失踪の謎と、弟が見た奇妙な光景が意外な形でつながる(「姉は何処」)。
資産家が溺死した事件の犯人は、若き妻か、懐具合が悪い弟か?人間の哀しい性が炙り出される(「浴槽の花婿」)など、驚きと謀みに満ちた7篇を収録。ミステリの名手が、満を持して生み出した名探偵。待望のシリーズ、第2弾!
(「BOOK」データベースより)

 

 

RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: B(ミステリー色は話によって様々です)

文章構成: B(短編集でバリエーション豊か)

登場人物: A(濱地探偵自体がミステリー)

読みやすさ: S(各話シンプルにまとめられており非常に読みやすい)

再読したい度: A(次回作も期待したい内容でした)

おススメ指数 A

濱地健三郎シリーズ2作目。「ホラー」という程の怖さはないですが、独特の雰囲気をもった作品で楽しめました。

 

 

感想

 

心霊現象を専門に扱う探偵「濱地健三郎」。大々的に宣伝しているわけではないにも関わらず、心霊現象に悩まされている依頼者達は彼の事務所に不思議と導かれていきます。本作は、短編形式で様々なバリエーションの依頼が濱地のもとに舞い込みます。なぜ幽霊たちは現世に残ってメッセージを発し続けるのか?濱地健三郎は助手の志摩ユリエと共に事件の調査に乗り出します。

 

本作は短編7作が収録された短編集形式で、奇妙な依頼もバリエーションに富んでいます。ミステリー色が濃いお話だけでなく、論理的思考というよりは探偵の直感で事件を推理するようなお話もあり、飽きが来ないような仕掛けもされています。お話の中には、助手のユリエさんが活躍したり、濱地探偵が一人で出向いて解決したりと、どう着地するのか楽しみながら読み進める事ができました。

 

また、心霊現象を扱った作品ですが、ホラー色はそこまで強くないので、苦手な方でも楽しめるのではないかと個人的には感じました。幽霊も生前は普通の人であり、何か理由があって現世に留まっていると濱地は語ります。時には優しく語りかけたり、時には𠮟咤したり、濱地の霊との接し方にも想いが感じられました。非現実ながらもどこか現実世界を感じさせる、不思議な作品でした。

 

心霊探偵の濱地健三郎が活躍する心霊探偵シリーズ第2作。本作からでも楽しめる作品となっていますので、もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。

 

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