個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2016年刊行、井上真偽作、「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」をご紹介したいと思います。2017年本格ミステリベスト10 第1位の作品です。
本作は、『その可能性はすでに考えた』シリーズの2作目です。様々な登場人物達が考えた「仮説」を主人公であり探偵の上苙丞(ウエオロ ジョウ)が「否定」するという、多重解決モノを発展させた意欲的な作品です。第1作を未読の方は是非とも1作目からチェックしておきましょう。
ズバリ、この作品は、
概要
聖女伝説が伝わる地方で結婚式中に発生した、毒殺事件。それは、同じ盃を回し飲みした八人のうち三人(+犬)だけが殺害されるという不可解なものだった。参列した中国人美女のフーリンと、才気煥発な少年探偵・八ツ星は事件の捜査に乗り出す。数多の推理と論理的否定の果て、突然、真犯人の名乗りが!?青髪の探偵・上苙は、進化した「奇蹟の実在」を証明できるのか?(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: A(なるほど・・・としか言えない(笑))
文章構成: A(本格ミステリベスト10 1位は納得)
登場人物: B(前作からの登場人物が多く、第1作を読んでいた方が楽しめるかと)
読みやすさ: B(後半の証明部分は流し読みしてしまった・・・)
再読したい度: B(読むのに体力を使う作品)
おススメ指数 B
背理法の証明問題を思い出しました。楽しんだというよりは勉強になった?
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感想
舞台はある地方の村。村では、望まぬ結婚をする事になったカズミという娘が多くの村人を毒殺したという古い言い伝えが残っており、カズミ様として現在も祀られていました。同様に望まぬ結婚をする事になった女性の婚礼式で3人の人間(と1匹の犬)が毒殺されるという事件が起きます。一見不可能とも思える毒殺事件に、様々な人物達が各々仮説を提唱していきます。そんな中「奇蹟の証明」を目指す探偵・上苙丞(ウエオロ ジョウ)が登場します。果たして犯人はどうやって不可能とも思える犯罪を遂行したのか?果たして誰が真犯人なのか?
前作に引き続き、登場人物達が出した仮説に対して、探偵役が「いや、〇〇だからその可能性はない」と否定していくというスタイルで進行します。登場人物達が出す仮説には、「いや、それは流石に無理があるでしょ・・・」という説もあるんですが、これも論理的に否定しなければいけないわけで、興味深いポイントの一つです。探偵の上笠は全ての説を否定して「奇蹟」を証明しなければならないので大変です。
なお、本作は、超がつく程の本格ミステリです。多重解決モノと言えば、「一つの事件から様々な可能性を推理していく」スタイルとして非常に面白いですが、本作は考えるのをやめたくなるほどの超難題論理パズルを解いているようです。前作はもう少しエンターテインメント性が高かったですが、本作はよりストイックな印象を受けました。本作を読むことで、自分が本当に本格ミステリを好きなのかどうかがわかる事でしょう。個人的には、本作を読みながら高校数学の背理法の証明問題を思い出してしまいました。「面白かった~」というよりは「勉強になった~」という感じです。(笑)
超論理的思考が要求される本格ミステリーである本作。前作とは少し雰囲気も変わっており作者の意欲が感じられます。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。