個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2020年3月刊行、アリソン・ゲイリン作「もし今夜ぼくが死んだら (If I Die Tonight)」をご紹介します。本作はアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞作です。
フェイスブックに投稿された「みんながこれを読むころには、僕はもうこの世にいない」という文章から始まる少年の嘆き。アメリカの小さな町で起こった盗難車の轢き逃げ事件に巻き込まれたある家族の物語が描かれています。
ズバリ、この作品は、
概要
フェイスブックで自殺を仄めかす少年。その裏にある盗難車による轢き逃げ事件。
小さな町の暗部。SNSでのバッシング。
少年の母・弟・捜査官・目撃者。
4人の登場人物の視点から描かれる、嘘と秘密の5日間。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞作!(「BOOK」データベースより)
RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: B(伏線が丁寧に張られていました)
文章構成: B(王道の展開なのでもう少し変化は欲しかったかな?)
登場人物: B(ウェイド、はっきりしろよ!(笑))
読みやすさ: C(唐突に4人の視点が変わるので状況を整理するのが難しいかも)
再読したい度: A(著者の他の作品も読んでみたくなりました)
おススメ指数 B
我が子を信じる母の強さを感じる作品でした。
感想
フェイスブックに投稿された一人の少年・ウェイドの、自殺を仄めかす投稿から始まる本作。その裏には小さな町で起こった盗難車の轢き逃げ事件がありました。轢き逃げ犯と断定され、SNSでバッシングを受けるウェイド。少年の母でシングルマザーのジャックリーンは我が子が決してこのような悪事に手を染める事は無いと信じ、彼の疑いを晴らすために奔走します。また、ウェイドの弟であるコナーも、友達のノアと共に事件の真相を探ります。果たして轢き逃げ事件の真相は?ジャックリーン達はウェイドを救うことができるのか?
本作は、ウェイドの母・ジャックリーン、弟・コナー、捜査官・パール、轢き逃げ事件の目撃者・エイミーの4人の視点から事件の経過を追います。彼らが目にした情報から次第に轢き逃げ事件の真相が明らかとなっていきます。ジャックリーンは会社の同僚、コナーは学校の友達、パールは刑事の同僚、エイミーは被害者家族など、周囲の登場人物も変わる為、多角的に情報が入ってくる仕組みが面白いですね。様々な人物からの情報がうまく相補しながら物語が進んでくようになっています。ウェイドが何故口を閉ざすのか?警察に疑われてまで母親や弟に隠す真実とは何なのか?とても興味深い謎で最後まで楽しめました。
また、本作ではSNSの負の側面が強調されています。作者のアリソン・ゲイリンは本作を書くきっかけとして、近くの町で起きた轢き逃げ事故で地元の若者が逮捕された時にSNSで根拠の無い噂が次々流れてしまい、当事者や家族の悲しみについて胸を痛めた事があったからだそうです。確かに本作でもSNSで表面的な情報だけを参考に犯人を名指しして非難するシーンが多く描かれていました。作者の強い想いを感じました。
アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞受賞作である本作。果たしてウェイドは轢き逃げ事件の加害者なのか?それとも何かを隠しているのか?もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。