『神とさざなみの密室/市川憂人』:鮎川哲也賞作家が贈る政治的密室ミステリー

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2019年9月刊行、市川憂人作「神とさざなみの密室」をご紹介したいと思います。

 

市川憂人さんは、「ジェリーフィッシュは凍らない」で第26回鮎川哲也賞を受賞・デビューされた作家さんです。独特の世界観を構築した「刑事マリア・漣」シリーズは3作目まで発表されております。今回ご紹介する作品とは関係はないですが、おススメのミステリーですので未読の方はチェックしてみてください。

(参考)「ジェリーフィッシュは凍らない」:第26回鮎川哲也賞

rko-book.com

 

「ジェリーフィッシュは凍らない」では、架空の飛行船・ジェリーフィッシュが登場し、現実世界とは少し異なる不思議な世界が演出されておりましたが、本作は政治団体の活動がテーマに据えられており、政治的思想の対立と密室ミステリーを組み合わせた作品に仕上がっています。

 

ズバリ、この作品は、

『政治的主張×密室ミステリーに興味がある』人向けです。

 

概要

 

和田政権打倒を標榜する若者団体「コスモス」で活動する凛は、気付くと薄暗い部屋にいた。両手首を縛られ動けない。一方隣の部屋では、外国人排斥をうたう「AFPU」のメンバー大輝が目を覚ましていた。二人に直前の記憶はなく、眼前には横たわる死体。誰が、何のために、敵対する二人を密室に閉じ込めたのか?そして、この身元不明死体の正体は?真の民主主義とは何か?人は正しい道を選べるのか?日本はどこへ向かっているのか?(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: B(密室ミステリーはどこかSAWのような雰囲気に)

文章構成: B(終盤には意外な展開に?)

登場人物: C(民主主義の危うさについては興味深かったです)

読みやすさ: C(政治的主張の部分が少し強かったかな・・・)

再読したい度: C(SAWのような監禁ミステリーに興味があれば楽しめるかも)

おススメ指数 C

政治活動とミステリーを組み合わせた意欲作でした

 

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感想

 

学生による政治団体「コスモス」の中心メンバーである凛は、目を覚ますと縛られた状態で監禁されている事に気づきます。凛の目の前には顔が焼けた死体が横たわっていました。一方、隣の部屋では、外国人排斥をうたうヘイトスピーチ団体「AFPU」のメンバー大輝が同様に監禁されていました。政治的思考が全く異なる二人が閉じ込められた密室空間。誰が何故二人を同一空間に閉じ込めたのか?この死体は誰なのか?果たして二人は協力して脱出できるのでしょうか?

 

SAWのような監禁密室脱出ミステリーに政治的思考が絡んで特異な作品に仕上がっている本作。「ジェリーフィッシュは凍らない」シリーズではどこか別世界のような独特の世界観が演出されていましたが、本作はヘイトスピーチや政権交代を訴える政治団体の説明に割く時間が長く、リアリティにこだわった作品と言えるでしょう。一方で、こういった出張が強い作品が苦手な方には読むのが大変かもしれません。

 

また、ミステリー部分に関しても丁寧につくられている印象を受けました。全ての事象に関して意味付けが行われており、終盤では綺麗に伏線が回収されていきます。凛と大輝という考え方が全く異なる二人が同じ空間に閉じ込められてそこから脱出を図るというストーリーは新鮮で興味深く感じました。

 

鮎川哲也賞作家が描く新しい密室空間ミステリーである本作。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。

 

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