『殺人犯 対 殺人鬼/早坂吝』:トラップ満載のクローズドサークル

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2019年刊行、早坂吝作「殺人犯対殺人鬼」をご紹介したいと思います。早坂さんは「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」という「タイトルを当てる」という新しい趣旨の異色作品でデビュー。様々な角度から新しいミステリーに挑戦されている作家さんです。

 

(参考)「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」(メフィスト賞受賞作)

 

本作のテーマは、「殺人犯」と「殺人鬼」が偶然居合わせてしまったクローズドサークル。「これは読まずにはいられない」という事で手に取りました。読んでみて驚きました。なんと、殺人犯と殺人鬼がターゲットを取り合うという夢(?)の展開に。先にどちらが目的を達成するのか?早坂作品でしか味わえないミステリーの醍醐味が本作には詰まっていました。

 

ズバリ、この作品は、

『いつもと違うクローズドサークルを読みたい』人向けです。

 

概要

 

孤島の児童養護施設に入所している男子中学生の網走一人。ある夜、島の外に出た職員たちが嵐で戻れず、施設内が子どもたちだけになった。網走は、悪質ないじめを繰り返していた剛竜寺の部屋に忍び込む。許せない罪を犯した剛竜寺を、この手で殺すためだ。しかし剛竜寺はすでに殺されていた。その姿を見て震え上がる網走。死体は、片目を抉られて持ち去られ、代わりに金柑が押し込まれていたのだ。その後もまるで人殺し自体を楽しんでいるかのような猟奇殺人が相次ぐ。「この島に恐ろしい殺人鬼がいる」―網走はその正体を推理しながら、自らも殺人計画を遂行していくが…。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: A(そんな発想は普通の人からは出てきませんよ・・・)

文章構成: A(全てに意味がある・・・)

登場人物: B(登場人物が子供なだけに少し現実離れしてしまったかな?)

読みやすさ: S(続きが気になってページをめくる手が止まりません)

再読したい度: S(2019年作品で、もう1回読み直したい作品の一つ)

おススメ指数 A

殺人犯と殺人鬼が対峙する夢の展開を楽しめました。

 

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感想

 

舞台は「孤島の児童養護施設」。施設に住む網走一人は、嵐で職員が島に帰る事の出来ない夜に、悪質ないじめを繰り返していた剛竜寺の殺害を計画します。ところが、既に何者かによって殺害されている剛竜寺を発見することに。被害者の片目は抉られており、代わりに金柑が押し込まれていました。どうやらこの孤島には恐ろしい猟奇的殺人者がいる模様。網走は犯人より先に殺人計画を遂行しなければならない事に。果たして殺人犯と殺人鬼、どちらが勝つのか?終盤に驚愕の真相が明らかになります。

 

本作では、クローズドサークルで「殺人犯」と「殺人鬼」がターゲットを取り合うという斬新なアイディアの作品です。別の作品で殺人犯がターゲットを横取りされるという作品は読んだことはありますが、クローズドサークルでは初めてではないでしょうか?当然登場人物が減っていくので犯人はある程度絞り込めるはずなんです。しかしながら、本作は伏線が緻密・且つフェアに配置されているにも関わらず、真相の特定は非常に難しいかもしれません。作者の天才的発想には脱帽ですね。終盤、「はい?」と思わず本に問いかけてしまいました。(笑)

 

クローズドサークルの新たな一面を見せてくれる作品です。正直なところ、早坂作品は正直好みが分かれると思います(私は好きです)。読まないと自分の好みに合うかがわかりませんので、タイトルとコンセプトに興味を持った方は、是非とも本作をお試しいただければと思います。

 

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