『交渉人/五十嵐貴久』:強盗犯と交渉人との手に汗握る心理戦の先に用意された結末とは?

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2003年、五十嵐貴久作「交渉人」をご紹介したいと思います。「交渉人シリーズ」3部作の1作目の作品です。五十嵐貴久さんは、第2回ホラーサスペンス大賞の大賞受賞作『リカ』で小説家デビュー。様々なジャンルで活躍されている作家さんですね。

 

五十嵐貴久/リカ (第2回ホラーサスペンス大賞 大賞受賞作)

本作は警視庁捜査一課特殊捜査犯の「犯罪交渉人(ネゴシエーター)」が強盗犯と対峙するサスペンスですが、それだけに留まらず最後までどう転ぶかわからない緊迫の展開を楽しむことができる作品です。

 

ズバリ、この作品は、

『臨場感のあるサスペンス、ミステリーを楽しみたい』人向けです。

 

概要

 

三人組のコンビニ強盗が、総合病院に立て籠った。院内の人質は五十人。犯人と対峙するのは「交渉人」石田警視正。石田はテレビやプロ野球の話題を織り交ぜ、犯人を思い通りに誘導、懐柔していく。しかし、解決間近と思われた時、事件は思いもよらない方向へ転がる。真の目的は何なのか? 手に汗握る驚愕の展開と感動のラスト。傑作サスペンス。(「BOOK」データベースより)

 

 

RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: B(ミステリー好きとしては素敵な展開)

文章構成: A(終盤の展開に「なるほどそう来たか・・・」)

登場人物: B(警察組織の暗部がうまく詰め込まれています)

読みやすさ: A(緊張感が終始感じられて惹きこまれました)

再読したい度: B(作者さんの引き出しの多さにいつも驚いています)

おススメ指数 B

ネゴシエーターのスキルも堪能できますが、ただの犯罪小説には留まらない作品でした。

 

 

感想

 

元特殊捜査班の遠野麻衣子は、上司とのよからぬ噂を流されたことから出世の道を閉ざされ、その後は高輪署・経理課で日々デスクワークをこなしていました。ある日、隣の管轄でコンビニ強盗が発生、強盗犯たちは病院に立てこもります。特殊捜査班が到着するまでの「繋ぎ」としてかつての上司で好意を寄せていた石田から交渉人を依頼された遠野は現場に向かいます。到着した石田と強盗犯との心理戦が続く中、事件は衝撃の展開へ・・・。

 

交渉人(ネゴシエーター)を本格的に扱った作品は当時そこまでなかったような気がしますが、改めて再読してみても交渉人の交渉術やスキルが作中に詰まっており、犯人との駆け引きによる緊迫感が全体を通じて伝わってくる作品です。臨場感を感じられるサスペンス・ミステリーを読みたい方にもおススメできますし、「交渉人(ネゴシエーター)ってよく知らない」という方にも是非とも読んでいただきたい作品だと思います。

 

また、この作品は犯罪小説の枠にとどまらず、警察組織、特に女性警察官としての難しさ、タイムリミットサスペンス、ミステリーとしての仕掛けなど様々な要素がうまくミックスされているように感じます。警察小説を普段読まない方でも楽しみながら読める作品ではないでしょうか。

 

強盗犯と交渉人との手に汗握る心理戦の先に用意された結末とは? 終始高い緊張感をもって読むことができる作品だと思います。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。

 

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