『望み/雫井脩介』:タイトルが心に重くのしかかるある家族の物語

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個人的こんな方におススメ♬

こんにちは、RKOです。本日は2016年刊行、雫井脩介作「望み」をご紹介します。家族の在り方について考えさせられる重厚感のある作品でした。

雫井脩介さんは、「人の心理描写を巧みに描く」作家さんだというイメージがあります。本作は、息子が行方不明になった家族の『望み』が400ページ近くに渡って展開されており、父・母・娘それぞれの『望み』が巧みに描き分けられた、非常に洗練された作品でした。

ズバリ、この作品は、

『余韻の強いリアリティサスペンスを読みたい』人向けです。

 

概要

思春期の息子と娘を育てながら平穏に暮らしていた石川一登・貴代美夫妻。9月のある週末、息子の規士が帰宅せず連絡が途絶えてしまう。警察に相談した矢先、規士の友人が殺害されたと聞き、一登は胸騒ぎを覚える。逃走中の少年は2人だが、行方不明者は3人。息子は犯人か、それとも…。規士の無実を望む一登と、犯人でも生きていて欲しいと願う貴代美。揺れ動く父母の思い―。心に深く突き刺さる衝撃のサスペンスミステリー。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

謎の素晴らしさ: 

文章構成: A(読みながら何とも言えない気持ちに・・・)

登場人物: S(家族それぞれの「望み」が非常に強く感じられました)

読みやすさ: A(続きが気になって1日で読みました)

再読したい度: S(つらいのに不思議とページをめくってしまう作品)

おススメ指数 S
なぜこんなにつらい話なのにどんどん読めてしまうんだろうか。

 

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感想

石川家は両親(一登・貴代美夫妻)と子供2人(息子・規士、娘・雅)のごく普通の家族でした。しかしながら、ある日、息子・規士と突然連絡が取れなくなり家族の状況は一変します。数日後、規士の友人が遺体となって発見されます。行方不明者は3人で逃走者は2人果たして息子は被害者なのか、加害者なのか、それとも事件とは関係がないのか。自宅に押し掛けるマスコミの記者達。父・一登は社会的な立場から、息子が犯人でないよう願います。それは同時に、息子が被害者である可能性が高くなる事を意味します。一方、母・貴代美は、犯人でも構わないから生きて戻ってきてほしいと願います。家族それぞれの「望み」がそれぞれの視点から語られます

本作は、全編通じて父・一登と母・貴代美の2人の視点から描かれています。この2人の考え方の違いが見事に表現されており、彼らの「望み」と心境の変化が手に取るようにわかります。それぞれの想いが非常に強く伝わると共に、どちらに転んでも悲劇が待つという「望み」にやるせなさも感じます。

また、ネットでの風評被害や、自宅に押し掛けるマスコミの心無い質問攻めなど、現代社会を取り巻く闇も描かれており、これらが彼らを追い詰めていきます。結果が出ていないからこそ、悩んでしまう、望んでしまう。追い詰められていく内に思考がどんどん負の方向に流れてしまう状況が非常にリアルに感じられました。自分が同じ状況になった際にどう考えるんだろうかと思いながらページをめくり続けました。

映画化も決定したそうで、2016年刊行ながらも再度注目を集める可能性が高い作品。お子さんがいる方、いない方、読む人によって感じ方はそれぞれかと思います。もしご興味を持たれましたら本作をチェックいただければと思います。

 

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