個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は2020年4月刊行、伊坂幸太郎作「逆ソクラテス」をご紹介します。本作は伊坂幸太郎さんの最新作で、子供達を主人公とした5作を収録した短編集です。
帯にある「デビュー20年目の真っ向勝負」というフレーズに期待して読み進めましたが、伊坂幸太郎作品らしく、一癖も二癖もあるけど「こんな友達昔いたよね」と感じてしまうキャラクター達が我々の先入観をぶち壊してくれる爽快で痛快な作品でした。
ズバリ、この作品は、
概要
敵は、先入観。世界をひっくり返せ! 伊坂幸太郎史上、最高の読後感。デビュー20年目の真っ向勝負! 無上の短編5編(書き下ろし3編を含む)を収録。<収録作>「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: ー
文章構成: A(どうすれば読者が喜ぶのかわかっているんですね)
登場人物: S(こういう子供っていたよね・・と思いながら楽しめます)
読みやすさ: S(言葉、題材のチョイスが絶妙です)
再読したい度: A(元気がなくなった時に再読したい作品)
おススメ指数 S
「伊坂幸太郎史上、最高の読後感」というキャッチフレーズに納得
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感想
本作は、様々な子供達を主人公とした5つの短編を収録した短編集です。伊坂幸太郎作品で「子供のキャラクター達」を中心に据えた作品はこれまでほぼなかったかと思いますが、ユニークな登場人物達と伊坂幸太郎さんの独特の言い回しが調和して、いつもの伊坂幸太郎作品を堪能できる作品です。
表題の「逆ソクラテス」というのは哲学者・ソクラテスの「知らないことを知っていると思い込んでいる人々よりは、知らないことを知らないと自覚している自分の方が賢く、知恵の上で少しばかり優っている」という名言から来ています。「これに『逆』を付けるってどういう意味?」というところから、ラストまでこの主題だけで一つの壮大な物語に繋がっていく構成は正直スゴイです。他の作品も決して期待を裏切らないお話で、読む人によってお気に入りのお話が違いそうだなと感じました。
また、本作では「先入観」というキーワードが5つの短編で共有されており、各話のテーマを展開しつつ、様々な側面からこのキーワードが読者に投げかけられます。本を読み進めながら、自分の中で様々な固定観念や先入観を持ってしまっている事を痛感しました。これは子供だから、大人だからではなく、個人の築き上げた価値観が影響しているのかなと思います。通常のミステリーは、初めに先入観が与えられて、それをひっくり返される事で読後の満足感を楽しむものだと思っていますが、本作ではさらに根本の、「社会生活を営む上で構築されてしまった先入観」を裏返すという試みがなされており、これがひっくり返される時の爽快感もまた心地良いものでした。
伊坂幸太郎作品は読み終えた瞬間に次作が待ち遠しくなりますね。短篇集ながら伊坂幸太郎ワールドを堪能できる作品です。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。