『それ以上でも、それ以下でもない/折輝真透』:第9回アガサクリスティ賞受賞作

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2019年刊行、折輝真透作「それ以上でも、それ以下でもない」をご紹介したいと思います。本作は、第9回アガサクリスティ賞大賞受賞作です。

 

本作は、日本人作家が描く、第二次世界大戦の戦乱に巻き込まれたフランスの人々の苦悩を描いた歴史小説です。作者の折輝真透さんは、『マーチング・ウィズ・ゾンビーズ ぼくたちの腐りきった青春に』でジャンプホラー小説大賞金賞を受賞。ゾンビものから一転、ナチス政権に翻弄されるフランスの田舎町を舞台に重厚感のある歴史小説作品を発表されました。アガサクリスティ賞ですが、ミステリーが前面に出た作品というよりは、歴史小説としての色合いが強い、戦争についても非常に考えさせられる作品でした。

 

(参考)マーチング・ウィズ・ゾンビーズ ぼくたちの腐りきった青春に

 

ズバリ、この作品は、

『戦時下のヨーロッパを描いたリアリティのある歴史小説を読みたい』人向けです。

 

概要

 

1944年、ナチス占領下のフランス。中南部の小さな村サン=トルワンで、ステファン神父は住民の告解を聞きながらも、集中できずにいた。昨夜、墓守の家で匿っていたレジスタンスの男が、何者かによって殺されたのだ。祖国解放のために闘うレジスタンスの殺害が露見すれば、住民は疑心暗鬼に陥るだろう。戦時下で困窮する村がさらに混乱することを恐れたステフィン神父は、男の遺体をナチスに襲撃された隣町に隠し、事件の隠蔽をはかる。だが後日、ナチス親衛隊のベルトラム中佐がサン=トルワンを訪れる。レジスタンスが匿われていると信じる住民にも、目的が判然としないベルトラム中佐にも、ステファン神父は真実を告げることができない…。孤独に葛藤し、村を守るため祈り続けた神父が辿り着いた慟哭の結末とは。2019年、第9回アガサ・クリスティー賞受賞。(「BOOK」データベースより)

 

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RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: B(戦争の悲惨さが前面に出た作品)

文章構成: B(終盤までクリスティ賞の存在を忘れてました)

登場人物: A(戦争に翻弄され人間性を失っていく人々の姿がうまく表現されています)

読みやすさ: B(非常に重いし悲惨なんだけども、静かに進行していきます)

再読したい度: A(次も歴史ミステリーで期待しております)

おススメ指数 B

ヨーロッパの戦乱と、翻弄されて次第に人間性を失っていく人々の辛さが痛いほど感じられました

 

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感想

 

第二次世界大戦中、ナチス占領下のフランス・サン=トルワンという村に住むステファン神父は、ナチスドイツに抵抗するレジスタンスのモーリスという人物を匿っていました。ところが、ある日モーリスが何者かに殺害されてしまいます。住民の混乱を恐れた神父はモーリスの死を隠す事にしますが、そこにナチスドイツの親衛隊・SSがレジスタンスを追って村を訪れます。真実を告げることができないステファン神父は苦しみます。

 

本作では、サン=トルワンという小さな村を舞台に、戦争に翻弄される人々の姿が高いリアリティを持って表現されています。ステファン神父という聖職者を主人公に据え、周囲の人物に他国からの難民者やナチスドイツの軍人など様々な信条を持った人物が登場する事で作品に深みを感じる事ができました。なお、凄惨な描写が非常に多いため、苦手な方はご注意ください。

 

アガサクリスティ賞大賞受賞作という事でミステリーとして期待される方も多いかと思いますが、どちらかという歴史小説として評価されるべき作品かと思います。しかしながら、「誰がモーリスを殺したのか?」というフーダニットの部分は作品の重要な要素として効いており、作品のラストの余韻をうまく引き出す事に寄与しているのではないかと感じました。

 

第9回アガサクリスティ賞大賞受賞作品である本作。作者さんの次回作も期待したいところです。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。

 

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