個人的こんな方におススメ♬
こんにちは、RKOです。本日は、2019年12月刊行、エリカ・スワイラー作「魔法のサーカスと奇跡の本」をご紹介します。原題は「Speculation」(思索、憶測という意味)ですが、東京創元社にてこの作品の魅力をより表現したいという事で邦題を決定したそうです。
手に取ったきっかけは、表紙がカラフルで「ファンタジー色のあるミステリーなのかな?」と感じたからですね。読んでみると、非常に読み応えのある作品で、いにしえの本と呪われた一族をめぐる物語が展開されます。図書館員のサイモンが暮らす現代と、サーカス団の日記からある一つのサーカス団の軌跡(過去)が交互に描かれ、次第に2つの世界がリンクしていく作品でした。
ズバリ、この作品は、
概要
図書館員のサイモンの元へ、未知の書籍商から送られてきた一冊の本。それは18世紀のサーカス団長が書いた日誌だった。姿を隠す術を使う少年とマーメイドの少女、少年にタロット占いを教える予言者。さまざまな人物が登場し、ところどころに挿絵がある。そしてなぜか、表紙の裏に母が子供のころに亡くなった祖母の名が記されていた。この本によって、サイモンは祖母と母親を含む母方の女性が、いずれも7月24日に溺死していたと知る。そんなとき、6年以上も家を空けていた妹のエノーラが突然帰ってきた。妹は、一心不乱にタロットカードをめくっている。入水自殺する前の母と同じように。一族には死の呪いがかけられており、妹の身が危ないのでは―。サイモンは本を手がかりに家族の秘密を探り始める。(「BOOK」データベースより)
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RKOの個人的おススメ指数
謎の素晴らしさ: B(一冊の本と自分の過去にどんな関係があるのか・・・)
文章構成: B(本の中のサーカス団と現代との結びつきが緻密に描かれています。)
登場人物: C(サーカス団一人一人をもう少し掘り下げても良かったかも)
読みやすさ: B(特にタロット占いの部分が楽しめました)
再読したい度: B(著者の別の作品を読みたくなりますね)
おススメ指数 B
一冊の本が変えた奇跡。読み応えのある作品です。
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感想
図書館員のサイモンは、ある書籍商から一冊の本を手渡されます。本の表紙の裏には祖母の名が記されていました。本の内容に興味をもったサイモンは、本を少しずつ読み進める事にします。中身は18世紀のあるサーカス団の団長が書いた日誌でした。一見家族と関係がなさそうな日誌の中に、サイモンは興味深い点を見つけます。それは、登場人物達の何人かの女性が7月24日に溺死していた事。実はサイモンの母も7月24日に入水自殺していました。これらの人物は家族と繋がりがあるのか?何故自分の元にこの本がやってきたのか?サイモンはこの一冊の本を手に家族の秘密を探り始めます。
本作は、図書館員であるサイモンの視点と、サーカス団に拾われ、育てられたアモスという青年の視点で物語が進行します。一見関係なさそうな2つの物語が次第にリンクしていきます。一つの本を手にする事で18世紀の世界と現代の世界との関係性が明らかになっていく様は非常に興味深く、読み応えもありました。
また、サイモンの妹であるエノーラと全身タトゥーの恋人・ドイル、サーカス団の個性豊かなメンバー達と、様々なキャラクターが登場します。特に18世紀のサーカス団員達が様々な芸を披露する姿は、どこかファンタジーで非現実世界であるように感じさせます。現代との世界観のギャップも本作の魅力であるように感じました。
ある一つの本を巡る物語である本作。魅力的な謎が含まれた、非常に読み応えのある作品でした。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。