『巴里マカロンの謎/米澤穂信』:小市民シリーズ11年ぶりの新作

個人的こんな方におススメ♬

 

こんにちは、RKOです。本日は2020年1月刊行、米澤穂信作「巴里マカロンの謎」をご紹介します。米澤穂信さんの人気シリーズ『小市民シリーズ』なんと11年ぶりの新作です。

 

日常の謎に血が騒いでしまう小鳩常悟朗と小佐内ゆきが二人で「小市民」を目指す『小市民シリーズ』。本作はスピンオフ短編集という位置付けです。シリーズ未読の方でも楽しむことはできますが、興味がある方は是非とも第1作の『春期限定いちごタルト事件』からチェックしてみてください。

 

春期限定いちごタルト事件(小市民シリーズ:第1作)

 

 

ズバリ、この作品は、

『小市民シリーズを楽しみにしていた』人向けです。

 

概要

 

「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店に行ってマカロンを食べます」
その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。
しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。
誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか?小鳩君は早速思考を巡らし始める…
心穏やかで無害で易きに流れる小市民を目指す、あのふたりが帰ってきました!
(「BOOK」データベースより)

 

 

RKOの個人的おススメ指数

 

謎の素晴らしさ: S(伏線の回収が美しいですね)

文章構成: S(オチまでの流れが見事)

登場人物: A(二人の掛け合いが◎)

読みやすさ: A(独特の脱力感がクセになります)

再読したい度: A(次回こそは「冬」が出る?)

おススメ指数 A

日常の謎ミステリーとしては秀逸。伏線回収が美しい作品でした。

 

 

感想

 

中学時代に問題事を推理したがる性格で苦い経験をした高校生・小鳩常悟朗と、常吾朗と似た境遇を送った同級生の小佐内ゆきの、「小市民」を目指すために互恵関係を結んだコンビが「日常の謎」を解くミステリー作品である本作。4作の短編が収録されています。

 

「巴里(パリ)マカロンの謎」、「紐育(ニューヨーク)チーズケーキの謎」、「伯林(ベルリン)あげぱんの謎」、「花府(フィレンツェ)シュークリームの謎」とスイーツにまつわる謎が続きますが、これらのスイーツが見事にミステリーの隠し味として効いています。各話短編という事で非常にシンプルな構成ながらも高い洞察力がないとロジックを構築できないようになっています。

 

「小市民シリーズ」を楽しみにしている方としては、小鳩くんと小佐内さんの「小市民」を目指す姿を今回も堪能できる作品かと思います。「日常の謎」を見つけると血が騒いで仕方がない小鳩くん、スイーツに目がない小佐内はいい意味でいつも通りです。また第1作から読み返したくなるような作品でした。

 

小市民シリーズ11年ぶりの新作である本作。読者の洞察力が試される良質な日常の謎が収録されています。もしご興味を持たれた方は是非とも本作をチェックしてみてください。

 

最新情報をお届けします